大都市圏であればワンコールワーカーも考える55歳
■ワンコールワーカーという労働形態をご存知だろうか
ワンコールワーカーという名の労働者をご存知だろうか。もし「何それ?」と思われたあなたは、まだまだ就職事情における底辺を知らないといえる。ワンコールワーカーとは、いわゆる日雇いバイトで働く労働者のことを意味する。しかし「なんで日雇いバイトがワンコールなのだろう?」とは思われないだろうか。
ワンコールワーカーになるためには、あらかじめ派遣会社に登録をする必要がある。登録を完了すると、働ける日時を派遣会社に電話かもしくはネットで登録できるようになる。
たとえば、来週の火曜日から金曜日までは働けると思ったなら、事前にそれを派遣会社に通知しておくわけである。すると、前日に派遣会社から電話が入ったりもしくはこちらから問い合わせることで、もし仕事があれば、集合場所の指示を受ける。あとは当日にそこへ向かえば、そのまま日雇いの仕事場所へと連れて行かれるという仕組みだ。
なお、家を出る、待ち合わせ場所に到着する、仕事場所に到着する、仕事が完了するなどのタイミングにおいて、派遣会社に連絡をする必要がある。ただし、派遣会社側ではシステムが起動しているので、指定電話番号に電話をかけてワンコールすればよい。そしてこれが、ワンコールワーカーたる所以である。
ワンコールワーカーは、ネットカフェ難民などの取材でスポットがあたることが少なくない。ネットカフェで生活をする人々は、ワンコールワーカーで生計を立てていることが少なくないからである。
ワンコールワーカーは、携帯電話ひとつあれば、仕事にありつける手軽さがある。社保などのサポートがなされていない所も少なくないようだが、比較的容易に仕事にありつけるのはありがたい。
また、もうひとつ麻薬的なメリットが存在する。それは、賃金支払いの早さである。たとえば、日雇いの給与は、仕事をした後に、派遣会社の事務所を訪れれば受け取ることができる所が多い。週払いとして受け取るのであれば、その旨あらかじめ派遣会社に伝えておくことで、事務所まで出向かずとも、銀行振り込みをしてくれるようである。
なお、この記事を目にされた方の中には、不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれない。日雇い派遣は既に法で規制されており、派遣業者はこのような形での派遣ができないはずだからだ。
しかし法律には、どこかに抜け穴があるものである。このような日雇い派遣の場合、クライアントとの請負契約がなされていれば、規制対象外となるようである。
法律の穴が計画的に作られている可能性は高い。うがった見方をすれば、大手派遣会社にはカネがある。政治家への働きかけも容易なことだろう。よって、もともと弱者保護を目的とした法律であるはずなのに、しっかりと業者側の意向が汲み取られているわけである。弱者保護ねえ・・・。
■ワンコールワーカーからの脱却方法
さて、俺は当然このワンコールワーカーにも登録している。しかしこの形態で仕事をする機会はあまりない。俺は地方都市に住んでいるので、登録はしてみたものの、あまり仕事がないのだ。
その点、大都市圏は仕事が豊富だろうから、日々仕事が転がり込む可能性が高い。毎日派遣会社とやり取りをするのは面倒だが、それでも日々日銭が入るメリットは大きい。多くの場合仕事は過酷だが、若ければそれも乗り切ることができることだろう。
ワンコールの仕事は、先にも申し上げた通り、ネットカフェ難民が多く利用する。ネットカフェ難民の場合、何かと日々カネがかかるはずである。荷物はコインロッカーに預ける必要がある。また、ネットカフェとて1日1000円以上はかかることだろう。最低でも月3万円以上のコストだ。また、コインランドリーも使わなければならないし、そもそも食事は100%外食かもしくは、コンビニ弁当ということになりそうだ。
ストレスがたまるため、たまには飲みにも行きたいと考えるはずである。ワンコールワーカーの場合、1日に稼げるのはせいぜい8000円程度であろうから、結果としてカネは残らず、よってその日暮らしが続いていしまう。
本来であれば、ボロアパートであっても、自分の部屋を持つ方がコストは安く住むのだが、敷金や礼金が用意できないのでそれもできない。また、保証人がいないがためにアパートを借りられないという方も少なくはないことだろう。
ただし、昨今では敷金が必要ないアパートも少なくない。また、保証人を必要としないところもあるので、いち早くカネをためて、3畳一間でも良いので、アパートを借りてしまうことをお勧めする。そして経費を最小限に留めつつさらにカネを貯める。
数ヶ月、無給でも暮らしていけるカネがたまったなら、日雇いの仕事を少し減らし、空いた時間で、長期の仕事を探していけばよい。若ければ必ず仕事は見つかるはずである。すると、徐々に生活も安定し、未来を見据えた生き方ができるようになるはずである。
若さはそれだけで特権なのだ。
ワンコールワーカーにもまともに成れない55歳の底辺男からすれば、「若い」ということをひとつとってみても眩いほどの輝きに見える。本当に、うらやましい限りである。
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