人類が飛躍的な発展を遂げた理由を考える
■人類が見つけたパンドラの箱とは
人類が飛躍的な発展を遂げたのはいつだろうか。人類と呼べる二足歩行のほ乳類が登場してからは、すでに700万年程度の時間が経過している。これは地球の歴史からするならば、ごく最近のことといえる。ちなみに地球の歴史を1年とするならば、人類が登場するのは12月31日の23時をかなり回った頃なんだそうだ。つまり地球の歴史とは、その多くが人類のいない世界であったわけだ。
その人間が、現在は地球の主として君臨している。しかし最初からこれほどまでの力を持っていたかというとそんなことはない。人はとても弱い生き物であったが、二足歩行によって大きな脳を支えることができるようになったことから、人類の脳は急速な進化を遂げることとなった。しかしその後も、人類は自然とともに比較的おとなしく地球に生きてきた。
ところがである。
18世紀半ばに、人類は、とてつもない大きな力を得ることになった。これ、何だと思われますか?まず最初に思い浮かぶのは、高度な文明であるはずである。ところがこれは切っ掛けに過ぎない。
この高度な文明によって、実は人類は、ひとつのパンドラの箱を開けることに成功している。人類におけるパンドラの箱とは、実は石油の採掘ならびに活用である。高度な文明を得ることで、石油を採掘し、これを用いることができるようになったのだ。ことエネルギーについては、エネルギー不変の法則というものがある。あるエネルギーは、それを用いることで別のエネルギーへと変換される。しかしエネルギー自体は形を変えても一定であるというものだ。
それまでの人類は、石油というエネルギーにまったくふれることはなかった。ところが、18世紀以降、人類はこれを採掘しエネルギーとして用いることも、加工してさまざまな製品を作り出すこともできるようになった。
それまでなかった新たなエネルギーが人間の生活に加わったため、その分だけ、人間は豊かになり、そして繁栄することができたといえる。また、ひとつのエネルギーは、様々なものに変化し、私たちの生活を潤すことになった。
■人類の繁栄とは何だったのか
実は、人類の飛躍的な進化とは、これだけのことなのだ。よって、人類は、石油が枯渇する以前に、何らかの新たなエネルギーの採取法を見つけださなければならない。しかしこれが難しい。原子力はいまだ使用済み燃料の処理法方が確立していないし、漏洩の際の除去技術も見つかっていない。また、太陽光エネルギーを始めとする自然エネルギーも、今一つ変換効率が悪いし、安定供給が難しい。
最近では原油価格が暴落をするなど、むしろ枯渇問題よりも、世界経済の低迷から、需要が大幅に低下していることが問題視されている。しかしいずれ原油は消えてなくなる。米国で開発が進むシェールも同様だ。まだまだ石油が枯渇するのは先の話だろうが、年月などすぐ経過する。石油が枯渇した際、これに代わる人類の新たなエネルギーを採掘できなければ、どのみち人類の文明は終わることになるはずである。
人類の繁栄とはなんだったのか。
それは単に、たまたま札束の入った財布を拾っただけかもしれない。そのお金を使えるうちは豊かだが、お金がなくなれば、再び貧困の日々が始まる。その際、高度な文明があったとしても、石油に代わるなんらかのエネルギーを持つことができなければ、どのみち先はないのだ。
さて困った。いや、今の俺には仕事がない事の方が問題であることを忘れていた。
【以下の記事も読まれています】