第二の人生において着手してはならないビジネス形態
私は、本ブログならびに動画において、第二の人生を迎えるにあたり何らかの収入源を確保することの重要性について申し上げてきている。雇用されることなく自らの収入源を確保することが可能となると、そこからは様々なものを得ることができるからである。
まずは、収入源の確保が可能となるわけだから、年金にプラスαの収入となり、より生活を安定させたり豊かになることができる。また、年金で充分に足りているという方の場合には、収入源分を貯蓄へと回すことが可能となる。
つまり年金ぐらしにおいても「収入=支出+貯蓄」の公式に則った生活を実現できるわけである。
また、自分の仕事を持つことで、生き方にハリをもたせることができる。自分で作り上げた仕事なのだから、働き方については自由にアレンジすることができる。適度に働くことができる一方で、それ自体を生きがいとして続けることもできるわけである。
現在、老後に多くの方が持つことができないものとして、生活のゆとりと生きがいを挙げることができる。第二の人生を迎える以前において、準備や試行錯誤の上で、たとえば月5万円程度でも収入を得ることが可能となり、しかもそれに費やす仕事に生きがいを見出すことができれば、それはそれで享受できるメリットはとても大きいわけである。
■第二の人生でおすすめできないビジネス形態
さて、ところが収入源として第二の人生においてはあまりおすすめできないビジネスの形態がある。
この形態を選択してしまうと、逆に第二の人生を過酷なものとしてしまう可能性がある。まあ、確実ということではないが、多くの方が頭を抱えているのも実際に見ている。ここではこれについて簡単に触れておくことにしたい。
■先行投資が多大に発生するビジネス
定年を期に、ビジネスを大々的に立ち上げて、勝負に出られる方もいらっしゃる。たとえば退職金の多くを投じたり、それを担保に銀行から多大な融資を受ける。
確かにビジネスを展開する上で、資本投資額が多ければそれだけ選択肢も増えるものである。しかし第二の人生は、そして働くことができる期間はさほど長いものではない。
このため、あまり先行投資に荷重をかけてしまうと、それを回収する間に余命を消費してしまう可能性もある。
60歳を超えてくると、思考力も判断力も鈍ってくるものである。このため、これまでしっかりとスキルや経験を積み上げてきたビジネス以外は、あまり過度な先行投資を行うのはリスキーだと思うが如何だろうか。
■すぐに儲かるビジネス
ネットをあれこれと観ていると「すぐに儲かるビジネス」といった類のものをよく目にすることがある。すぐに儲かるのであればそれはそれで素晴らしいことだが、おおよそこの手のビジネスは眉唾感満載のもであることが多い。
また、それがたとえ真実であろうとも、すぐに儲かる市場はすぐに枯渇する。つまりあまり長続きはせず、結果として金銭的時間的投資を回収することは難しい。
■投資を超えた投機
退職金を手にすると、気が大きくなり、これをうまく回して何倍にもしてやろうと考える人も少なからずいらっしゃるものである。
現在では、株式市場以外にも、日経225先物や外国為替、商品先物など、さまざまな投資市場が存在する。また、証拠金取引の場合、持ち金の10倍を超えるトレードが可能となることから、うまくいけば資金を一気にふくらませることもできる。
しかしこれは逆に、投資資金を一気に溶かしてしまうリスクもあることに他ならない。
昨今の金融市場は、おおよそが人工知能によってトレードがなされている。また、その他のトレーダーについても生き残っているのは、つまりは戦場における傭兵のような人々であり、しかも膨大な資金の後ろ盾がある。
書籍を数冊目にされただけで、大きな利回りを得ることは難しいと考えられておいたほうが無難である。
■フランチャイズも良し悪し
これまでビジネスの経験がないので、ブランチャイズに加盟してノウハウを得ながら収益を確保されようとされる方も少なからずいらっしゃるはずである。確かにフランチャイズの場合は、すでに仕入れから販売、広報などのすべてのノウハウが確立されている。よって初めての方であっても、この点に頭を抱える必要はない。
その意味ではとても賢い選択といえないまでもない。
しかしフランチャイズを展開している企業は、加盟者に利益を与えるためのボランティア団体ではない。彼らはフランチャイジーを数多く抱えることで、売上を拡大し、しかも利益率をあげようとしている。
たとえばコンビニの多くは個人経営者がフランチャイジーとなっている。いずれも過酷な労働の上で成り立っているが、ロイヤリティーが徴収され続けることから利益率は極めて低い。その一方で、本体は多大な利益を計上することに成功している。
フランチャイズ展開において、利益を上げることができるのは、本体であることをご理解いただければと思う。
■じゃあどんなビジネス形態がいいわけ?
第二の人生において、生活の安定と生きがいをえるための収益源は、できればお金ではなく時間を掛けて育むものが良いと思う。
それは地元の限られた商圏をターゲットにされても良いだろうし、ネットを活用して広範囲の領域からロングテールを狙ってもよいかとも思う。
しかしながら、ビジネスは着手したからとすぐに利益を上げることはまず難しい。特にこれまでビジネスの経験をお持ちでない方の場合、ビジネス以前にマインドセットを身に着けなければならず、その上で展開を図ったとしてもとかく時間はかかるものだ。
ただし、時間はかかるものの、多大なお金を投じなくても育てることはできる。そして徐々に、ご自身の顧客、つまりはファンを獲得されていくと、次第にお金も回るようになる。
当初は頑張っても利益はあがらないし、上がっても次の仕入れに回す必要があったりで、生活が豊かになることはない。
しかしそれでも数年の試行錯誤を繰り返していくと、次第に手応えがではじめるものである。また、その間に商売とは何であるのかを身につけることにもなる。第二の人生において持つべき収益源とは、そんなご努力の向こう側に用意されているわけである。