50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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数字に強い経営者が陥りやすい罠とは


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■健全経営に不可欠な数字の把握

健全な経営を続けるためには、経営者は数字に強くなくてはならない。企業運営には、数字はとても重要な指針であり、これを把握することができなければ、経営は成り立たないからだ。

たとえば、貸借対照表においての流動資産や固定資産、流動負債、固定負債、純資産、資本金、有利子負債、損益計算書における売上高やそれに占める粗利率、営業利益や当期純利益など、経営者はこれらの決算情報を常に把握すると共に、どの部分を改善すべきかを常に判断しながら経営を行う必要がある。

自分の会社の経営状況を、数字からつぶさに把握できなければ、今後のプランニングにおいて、どのような展開を図れば良いかが見えない。すると、翌年には次の展開を図ることがさらに難しくなることもある。経営が怪しくなる企業の多くは、実はその予兆が数年前から貸借対照表や損益計算書に現れ始めているものだ。

しかし最近の経営者を見ていると、これについては心配はない。皆さん実に詳細に数字を追うことができているようだ。また、それをもとに逐一経営を改善しようとされているようである。特に最近の若い経営者の方々は、実に数字に強いように思う。

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■数字を数字として捉え続ける企業のリスク

ところがである。中には、数字を動かすために労力を費やすことで、逆に経営を立ちゆかなくさせてしまう経営者も目立つ。そして、最も陥りやすいのが、利益を確保するために必死になりすぎて経営に失敗する方々である。

「企業収益の確保は、経営においてマストなものだろう。利益確保を追求するのが失敗要因というのは矛盾していないか?」

確かにおっしゃることはよく分かる。企業は、何らかのプロダクツやサービスを提供することにより売上を得ている。この売上高から、取引先などに支払う売上原価を差し引いた額が粗利益となる。また、粗利益から販売費や一般管理費、つまり従業員の給与などを差し引くと営業利益、営業利益から営業外収益や営業外費用などを加減算した額が経常利益、経常利益から特別利益や特別損失を加減算したものが税引き前当期利益、そしてここから法人税などの税金を納めた額が当期利益となる。

よって、しっかりとした売上さえ確保することができる状態にあれば、あとは、マイナス勘定の部分を削減することで利益を上げることができる。簡単な加減算であり、これといって難しい話ではない。

そこで、経営者の多くは、血眼になって経費などの勘定科目を1円でも減額しようとする。経費が1円でも下がれば、それは利益へとダイレクトに移行する。経営者はこの1円を必死に追いかけるわけだ。

しかし実は、数字によって利益を追求し始めると、数字以外の大きな部分を見失うリスクも高まるものだ。そして現在、多くの経営者はこの罠に陥っている。

たとえば、売上原価を1円でも安くすれば、売上に対する粗利益率を上げることができる。また、一般管理費を下げることで営業利益率を上げることができる。企業はより高い利益を確保する必要があるので、経営者や経理担当はこの部分に注目し、コストを最小限にとどめようとする。

「経営の合理化」
「徹底したコスト削減」

これらは、力不足の経営コンサルタントが好んで使いそうな言葉である。いずれもコストとなる勘定科目を最小限に抑えることにつながるので、一見健全な経営策であるかのように思える。よって経営者もこれに賛同し、それに向けて必死になることだろう。ところが、ここから経営は不健全な方向へと傾いていく。なぜだかおわかりだろうか。

■コスト削減に走る企業が陥りやすい罠とは

徹底したコスト削減において、売上原価を下げるのは、つまりは取引先や下請けの利益、外注費を下げることにつながる。また、一般管理費を安易に下げることは、給与コスト削減につながることだろう。

ところがこの数字は、損益計算上の単なる数値ではないことを、経営者の多くは見落としている。これらの数字は、下請けや外注、社員などの生活に直結する糧なのだ。

「利益確保のためのコスト削減は、致し方ないことだろう」

と、もしそう思われた経営者は、今後の経営が危ぶまれる。確かに売上原価や一般管理費を削減する取り組みは、経営上不可欠なことではある。しかし、下げやすいからと安易に下げるべき数字ではない。安易に下げてしまうと、そのしっぺ返しを受けるのは、経営者やその企業だからだ。

徹底したコスト削減により、下請けの単価を下げることは難しい話ではない。下請けはそれでも仕事を確保しなければなず、厳しい要求にも応えなければならないからだ。しかしこれを続けると、下請けは経営が立ちゆかなくなったり、品質低下につながることだろう。前向きに協力しようといったモチベーションも欠如するに違いない。

また、従業員を安い賃金で使ったり、残業代を不払いにしつつ長時間の労働を強いたとしても、他に仕事がなければ、従業員はそれに従うしかない。一般管理費を下げることには成功する一方で、社員の士気は失われ、不満は山積し、徐々に仕事のクオリティは低下していくことになる。多くの社員が一度に退職することで、経営自体が立ちゆかなくなることさえある。そしてSNSなどにより、この手の情報は一夜にして拡散をする。
取引先の生産力や従業員の労働力は、企業運営になくてはならないものといえる。これを単なる数字として捉えてしまうと、それはいずれ経営の屋台骨さえも揺らしかねない事態へと発展してしまうことが少なくないのだ。

実際、経営に苦慮している大手企業の多くが、この罠に陥っている。徹底したコスト削減の結果が、企業運営プロセスをも崩壊させてしまっているわけである。

■企業を発展へと導く真の経営者の姿とは

「苦しい経営状況の中で、削減できる部分を削らさずして生き残る道はないだろう」

経営者の方々はそう苦悩されるかもしれない。しかし経営者は、取引先や外注費を下げることなく、売上原価を下げるための仕組みを考える必要がある。また、従業員の給与を下げたり、安い給料で長時間働かせずして、一般管理費を下げる仕組みを作り上げる必要がある。そしてなにより、売上を延ばすための企業努力を、率先して行う必要があるのだ。

実際、これらの仕組み作りにしっかりと取り組む企業は、安定成長を続けている。ひとときの市場拡大の波に乗るのみならず、いかなる波であっても、それを乗り越える力がある。また、倒産寸前にまで陥ったものの、経営陣が、これらの仕組み作りに真剣に取り組んだ結果、息を吹き返しつつある企業もある。

企業経営に、数字はとても重要なものだ。しかし、企業を動かしているのは、結局人なのだ。企業は数字ではなく、人が支えている。支える人々が豊かになることで、その結果として、企業は安定拡大を図ることが可能となる。経営者はこの点を忘れてはならない。また、これに目を背けたままでの企業の発展はない。

顧客、株主、取引先、下請企業、従業員など、企業を支えるすべての人を豊かにする。大成することのできる真の経営者とは、そんな力を持っている。


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