50代からの貧乏ながら気楽な人生

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今後老後破産が爆発的に増加する理由


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「老後破産」という言葉が一般化し独り歩きしている。まだ40代よりお若い方の中には、「最近の老人は大変だなぁ」と他人事のように思われている方もいらっしゃるかもしれない。しかし老後破産は、現在の高齢者の問題ではなく、むしろ40代よりお若い方々の問題であることを、しっかりと認識されていない方が多いように思う。老後破産は、今よりもむしろこれから10年、20年後に急増する。仮に現在の年金制度に、抜本的な改正を行わなければ、この悪夢は必ず現実のものとなるはずである。

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■今後の年金制度が孕む不確定要素

今後老後破産が爆発的に増加する理由としては、いくつかの要因を挙げることができる。まず第一に、年金問題である。現在50代にある方々の年金については、すでに受給開始年齢や支給額はある程度決定している。よって、若干の減額はあったとしても、突然年金が支払われなくなったり、受給年齢が突然大幅に上がることはない。

しかし現在40代、もしくはそれよりお若い方々の年金については、どのような形になるかは、まだ未定領域と言える。既に年金の原資は底をついた状態であり、40代を含むそれ以前の方が定年を迎えた際、年金額や受給開始年齢がどのような形となるかについては、まだ未確定なのだ。明らかなのは人口分布の推移だ。これまでの少子化により、今後の労働人口は減少傾向を辿る。その一方で高齢者の数はしばらくの間、増え続けることになる。このため、受給開始年齢が70代になるかもしれないし、さらなる減額がなされるかもしれない。

■いまだ増加傾向にある非正規労働者

非正規労働の割合が急増しているのも、大きな問題となる。非正規労働者には退職金がない。また、ボーナスの支給もされないことから、しっかりとした貯蓄ができないまま、定年を迎えてしまう。さらに、現在の雇用システムを国手動で変更しなければ、年金受給年齢だけが引き上がるものの、それまでの仕事は見つからないということにもなりかねない。60歳を理由としてクビを切られたものの、その後70歳までの10年間は、一切の収入がないのだ。

非正規労働者の増加には、現在の労働者派遣法を要因として挙げることができるが、実はそれ以前、1990年代に流行ったフリーターという言葉を起因としているようである。フリーターとは、文字通り企業に属することなく、アルバイトで日々の生活費を稼ぐ立ち位置の人々であり、フリーランスとアルバイターからなる造語である。そしてこの言葉の登場にも、1986年の労働者派遣法施行が絡んでいる。

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■結果的に労働派遣法が生み出したフリーターの存在

この法律において、正社員という働き方とは別に、ひとつの企業に属することなく複数の企業との契約を持ちながら仕事を得るフリーランスの働き方が、システムエンジニアなどの一部の職種において可能となった。つまり実力があれば、雇用されることなく高い給与を得ることができるようになったわけだ。当時時代はバブルであったことから、仕事はいくらでもあった。よって能力のある者は、企業に雇用されることなく高収入を得る手立てはいくらでもあったわけだ。

そんなフリーランスに対する羨望を、当時の高校生や大学生は持つことになった。そしてそんな流れを受け、実社会に出る際にも、特定の雇用を避ける風潮が一部で流行り始めたのが1990年代だったかと思う。フリーランスとフリーターでは、スキル的にも収入としても大きな相違がある。しかしこれらを「自由」という括りで同一視してしまい、結果的にフリーターへの憧れを持つ者も少なくなかったのだ。

フリーターの場合、年収は頑張っても200万円程度であり、中には100万円台の人も決して少ない数ではない。1990年代においては、学校を出て就職をしない選択肢も、十分に意味のあるものとして捉えていた人が、流行りの影響も手伝ってか、とても多かったのだ。
「まだ、自分が本当にやりたいことが見つかっていないので」
というのがフリーターになった人々の表向きの理由である。しかし、フリーターとして社会に出た人の多くは、現在においてもフリーターであり、非正規労働者である。彼らには結局、正社員へと鞍替えするチャンスは与えられなかった。

■爆発的に増加する老後破産

さて、仮に1990年に高校を卒業した人は、現在40代半ばということになる。そしてフリーターに夢をはせた方の多くは、現在非正規労働者として低賃金に困窮した生活を送る。この世代が60代を迎える今から10年後以降、老後破産が爆発的に増加することになる。

非正規労働者やフリーターとして生きてきた人々の多くに、まとまった額の貯蓄はない。日々の生活に困窮した状態で、毎月定額の貯蓄を積み上げていく余裕はないからだ。また、この多くが年金を支払っていなかったり、国民年金加入者である。よって老後の生活を支えるだけの年金額は得られない。さらには、今後支給開始年齢が70歳に引き上げられたり、支給額が大幅に減らされる可能性も十分にある。

ところが、70歳まで生活を支えることができるまともな仕事はない。これでは生活が成り立たない。そしてそんな人々が、労働人口の半数に迫るとなれば、これは個々の問題を超え、国家的な問題に発展することは明らかだ。いくら年金を削減したところで、国の負担は増え続けることになるからである。

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■老後破産をした人々が落ち着く先とは

働きたくてもまともな仕事はなく、さりとて生活にはお金が必要である。また、高齢ということもあり、働くことができない人々も多くなることだろう。生活が維持できなければ、生活保護申請を出すしかない。非正規労働者やフリーターとして生きてきた人々の多くは、これといった資産もないし、孤立状態にある人も少なくない。つまり、生活保護を受けるための条件はそろっている。よって爆発的に増加する老後破産者の多くは、結果的に生活保護で老後を生きることになる。

仮に財源不足から年金額を減額したとしても、その段階において、生活保護受給者の数は跳ね上がる。つまり、国からのお金の出口が変わるだけであり、結果的に国の負担は増え続けることになる。

日本国民には生存権がある。文化的な生活を維持する権利を有している。さて、国はこの人々、つまり現在の40代よりも若い人々の老後を、どのように支えていくのだろうか。これまで問題を先延ばしにしていたツケは、今後の10年、20年の後に、まとまった形でやってくることだろう。政府も、国民も、この大きな衝撃に吹き飛ばされないように、今から十分な対策を練っておく必要はありそうである。

 

 


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