50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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人材不足が深刻化する理由と企業の生き残り方法


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■人材不足が深刻化してきている

人手不足がかなり深刻化してきているようだ。ただし有効求人倍率の上昇は、アルバイトやパートによって引き上げられている。つまり企業は、正社員を欲しているのではなく、安く使えて必要に応じていつでも切ることのできる労働者を必死に集めようとしている。

ところが、人が来ない。働き手がない。

中には、営業停止や倒産に追いやられる企業も出始めているようだ。ただし企業全体の収益率は上昇し始めている。儲かる企業は儲かり、潰れる企業は潰れる。ある意味での淘汰期が到来している。必死に労働者を確保しようとする企業の経営者は首を傾げていることだろう。

「時給を1200円に引き上げたのに、まったく人が来ない。なぜだ?」

このような疑問を持たれている方が社長の企業は、どの道淘汰される側に回る。至極単純な動きが見えていないので、今後の変革期を乗り越えることができない。さて、ではなぜ働き手がこれほどまでに少ないのだろうか。

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■働き手がこれほどまでに少ない理由とは

働き手が少ないのは、急激に仕事が増えたからだと思われている方もいらっしゃることだろう。しかし話はそれほど単純なことではない。実はこの要因は複数存在する。そしてこれが人材不足問題を複雑なものにしている。

バブル崩壊以前の日本では、非正規労働者は一部の職種に限られていたことから、働くとなれば正社員雇用が一般的だった。給与は満足のいくものではなかったかもしれないが、とりあえず生活をして子供たち育つだけの最低限の暮らしを確保することができた。

仮に生活費が足りなかったり、もう少し豊かに暮らしたいと願う場合、主婦や子供がアルバイトやパートに出ればよかった。もともと大黒柱の収入は安定しており、パートやアルバイトは、その収入にプラスして得ることができればことが足りた。

このため、安い時給であったとしても、空いた時間に仕事を得て、少しのお金を稼ぐことができればそれで良く、パートやアルバイト程度の収入でも問題はなかったのだ。

ところが現在は大きく事情が異なる。

本来の大黒柱の収入が不安定かつ低収入化している。ひとりがギリギリ生活をするのであれば可能なものの、家族を養ったり教育にお金をかけることなど到底できない。また、いつまで仕事を得ることができるかの保証がない。このため、たとえ主婦であったとしても、生きるためのお金を自力で稼ぎ出す必要が生じている。

同様の事情は学生も抱えている。以前であれば、学生は仕送りによって生活をしながら学ぶことができた。よって足りない分をアルバイトによって補てんすればよく、学業の合間の短い時間で働くことでことが足りた。

ところが、父親の給与は不安定かつ低賃金であることから、子供に仕送りをする余裕はない。このため、学生ローンで学費を支払うとともに、自分が生きるための何らかの労働をしなければ、生活自体が成り立たなくなっている。

さて、このような事情を抱えた主婦や学生は、どのような仕事を探すだろうか。

さすがに正社員は難しいとしても、まとまった収入を安定して得られる仕事を探すことだろう。つまり、月収にして10万円を下回るアルバイトやパートは、したくてもできない。それが自分の生活を維持できる額でなければ、選択肢から外すしかない。よって、彼らが仕事を探す場合、自活できるだけの収入がありながらも、比較的時間が自由になり、しかもじっくりと働き続けることのできる仕事を探すことになる。実際、このような条件をクリアする求人には、多くの人材が集まっている。

今後は、雇用主にとって有利な細切れ的な求人や、最低限の生活さえ維持できない低賃金の仕事には働き手は集まらない。しかもこの状態は、今後さらに深刻化を増すことだろう。

■企業倒産が増加する理由とそれを阻止する方法

一方、なぜ人が取れない会社が倒産し始めているのだろうか。市場にはお金が回り始めている。よって仕事の話もあり、顧客の動きも徐々にではあるが活性化している。つまりビジネスチャンスはある。ところが人がとれないので満足なサービスが提供できない。そこで人件費を上げざるを得ない。しかし人件費を上げると収益率が下がることから、中には資金繰りにさえ苦しくなる企業も出はじめる。

それでも人が欲しいのであれば、労働によって一人の人間の生活が維持できる額にまで賃金を引き上げるしかない。これができれば人は徐々に集まりだす。この額とは、時給換算で2000円程度であると考えている。

主婦や学生の場合、毎日8時間の労働はさすがに難しい。主婦の場合は子育てや家事、学生の場合は講義や勉強時間を捻出する必要があるからだ。仮に1日5時間の労働と仮定した場合、時給2000円あれば1万円の収入を得ることができる。1ヶ月15日程度働いた場合でも控除前で15万円の収入を得ることができ、最低限の生活は維持できる。つまりこの時給でやっと自活できる環境を得ることが可能となる。

「アルバイトやパートに時給2000円だ?そんなんで経営を維持できるはずないだろう!」

企業経営者は、口をそろえてそうおっしゃるはずである。では逆に、なぜこれまでは経営を続けることができたのだろうか。それは、パートやアルバイトを必要な時だけ安く雇用することができたからに他ならない。人件費を安く上げることができれば、少なからず利益が上がる。このため、これまでなんとか会社を回してくることが可能だったのだ。

これは言い換えれば、安価な労働力に依存することで、経営を成り立たせていたということになる。このような企業は決して少ない数ではない。

繰り返すが、非正規労働者の割合が労働人口の4割を超えるに至り、誰もが自分で自分の生活を維持しなければならなくなってきている。よって、パートやアルバイトなど、安価な賃金の上に成り立つ経営体質やビジネスモデルは、今後において成立しないことになる。残念ながら淘汰される側に回る。

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■今後生き残ることができる企業の経営体質

では、企業、特に中小零細企業が今後生き残っていくためには、どのような経営体質を目指せばよいだろうか。道はいくつか存在すると思う。

まずは人件費を削減せずに収益性を上げることを考えることだ。つまり労働者の苦しみを踏み台にした利益追求を改善することである。労働者を使わざるを得ないのであれば、その労働者の生活が維持できるだけの賃金を捻出するこであり、それができないビジネスモデルには手を出さないことだ。

下請け体質からも脱却し、経営者が額に汗して飛び回ることで、多数のクライアントを得て、そのポートフォリオ管理を徹底する。人件費を削減するのではなく、収益化部分に注目をして、労働者も含めて豊かさを追求する企業体を目指すべきだ。

「そんな企業運営は、資本主義にさえ反する」というご意見もあることだろう。しかしこれまでの資本主義自体が揺らいできている。会社を存続したいのであれば、慣習にとらわれない新しい経営手法を目指すしかない。いずれにしても、労働者を使うのであれば、その労働者がしっかりと生活を維持しつつ、安心して生きていくことができる条件を提示することが必須となる。でなければ今後は人はやってこない。

「労働者も豊かに?冗談じゃない」と思われるのであれば、人を極力使わないビジネスモデルへシフトするのも良い。

昨今IT技術の急速な進化と、インフラとしてのインターネットの普及により、労働者を使わずしても高い収益を上げることのできるビジネスモデルに、多くの選択肢が持てるようになってきている。インターネットに接続し、1年365日、1日24時間休みなく働くサーバーには人件費はかからないし、労働組合もいらない。しかもその維持コストは、年間数万円で十分に事が足りる。コアな労働部分にのみ高いスキルを持った人材を正社員雇用し、少数精鋭で高い収益を目指すことができるわけである。

■アルバイトやパートの雇用がさらに難しくなる新たな動き

雇用主からすれば、さらに重くなるネタで恐縮だが、安価で細切れ的な労働力を、今後はさらに使えなくなる。そんな動きが、ここのところ出始めている。

オンデマンドエコノミーの急速かつ爆発的な拡大予兆だ。

オンデマンドエコノミーとは、必要な時に必要なサービスを、必要な場所に届けるオンデマンドサービスを提供するビジネスをいう。昨今、インターネットに加えてスマホなどのデバイスの普及により、誰もが場所を選ぶことなく、さまざなサービスや情報にアクセスすることが可能となっている。また、これを用いた新たなビジネスモデルも数多く登場することになっている。

この中に、自分の時間を自由に切り売ることで収益化できるサービスが成長しているのをご存じだろうか。

自分の時間に空きができると、その時間をスマホを介してサービスに登録する。一方で、何かを頼みたいサービスユーザは、時間に空きがある人の中で条件に合致した人材を使うことができるというものだ。時間を売る者と買う者のマッチングやリンクは、サーバー上のWebサービスが行うため、膨大な数の案件であっても瞬時に処理することができる。

時間を売る側と買う側は、仕事によって自由に単価を設定できる。得意とする分野の仕事であれば、空いた時間を利用して、効率的に収益化を図ることができるわけだ。つまり、アルバイトやパートなどに出向かなくても、いつでも自由に細切れ時間をお金に換えることができるわけである。

しかも雇用主は法人ではなく個人であることが多い。たとえば、夕食に手料理を食べたいと考えた単身者が、たまたま時間の空いていた近くの主婦に料理を作ってもらうことができる。また、話し相手が欲しいご老人が、たまたま休日で時間を持て余していた若者に相手を依頼することもできる。そしてこれは、スマホがあればことが足りる。

このようなサービスが今後数年で急拡大していく。私たちは、誰もがその時々で雇用主となり、また労働者となることができる。そしてそれは、本業を維持しながらも可能となる。そんな便利なシステムがすでに拡大を始めている現代において、雇用主の都合の良い時間や安価な時給を提示したとしても、そして重労働の仕事で求人をかけたとしても、誰も振り向いてはくれない。

企業が破格な安い労働力を得ることができた時代はすでに終焉を迎え、エンドロールが静かに流れ始めている。

 


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