ベーシックインカムの賛否を誰がしているかに注目しよう
■昨今の企業や資本家が抱える問題
今後、ベーシックインカムが導入されるまでの大まかな流れについては、以前の記事でも既に触れてきている。まずは簡単にここで復習しておくことにしよう。
今後企業業務のほとんどを人工知能が行うことになると、企業の人件費負担は徐々に軽減されることになる。そして最終的には、パートやアルバイトなどに依存する細切れ的な末端労働以外の労働力を必要としなくなることだろう。
ところが現状、このような細切れ的な労働力の確保が難しくなってきている。非正規労働者の割合が増大してきているので、主婦や学生とてパートタイムの仕事では生活を維持することができなくなってきているためだ。現在の働き手は、それが主婦や学生であったとしても、自らの生活がかかっている。一家の大黒柱の収入に+αしただけでは、生活が成り立たなくなっているためだ。
また、企業や資本家にとって、頭の痛い部分がもうひとつ顕著に表れ始めている。それは貧困層が拡大することにより、市場自体が縮小傾向をたどっていることだ。
これまでの資本家は、民から自由に労働力を得るとともに、民の消費から多大な利益を得ることで膨大な利益を上げることに成功していた。ところが今後は、末端の労働力を自由に得られず、しかも民が消費をしてくれない。となると、これまでのように利益を上げることができなくなる。
資本主義社会自体が大きな岐路に立たされているわけであり、今後は大きく社会構造がシフトする可能性が高まってきている。よって資本家はいち早く民から末端労働の労働力を自由に得ることができる環境に加え、今まで以上の消費を生み出す仕組みを作り上げなければならないと考えている。
■誰がベーシックインカムを推奨しているかの裏に注目しておこう
さて、ここまでの流れについてはご理解いただけただろうか。では資本家において懸念材料となるこれまでの問題を払しょくするためには、どのような社会構図を作り上げれば良いだろうか。
ということで登場するのが、言わずと知れたベーシックインカムということになる。
「随分と、こじつけた論理のようだが・・・」と、多くの方はそう思われることだろう。
そこでひとつ、今後、注目をしていただきたい部分がある。それは、誰がベーシックインカムを推奨しているのかという点である。最近ではテレビやインターネット、書籍などでベーシックインカムの言葉を頻繁に目にするようになってきているが、誰が積極的にこの言葉を使っているかについて注目していただきたい。
また、この手の話には、賛成者もいれば反対するものも必ず登場する。賛成する人はだれか、そして反対する人は誰か。賛否を訴える人々がどのような業界をリードしている人々なのかについても、慎重に見ていくと良い。するとそこには、面白い傾向を目にすることができるはずである。
ベーシックインカムを執拗に推奨する人々とは誰だろか。日本のみならず海外にも目を向けてみよう。そこにはきっと、資本家の存在があるはずである。彼らは今後の社会構造の変革を予知している。そしてだからこそ、ベーシックインカムを推奨する必要がある。
その一方で、ベーシックインカムに懐疑的な意見を持つ人々の存在もあるはずである。彼らは誰だろうか。もしかしたら金融や銀行、保険など、これまでお金の動きに近い部分で利益を得ていた人々ではないだろうか。
発言には必ずなんらかの意図がある。国家や自治体のスリム化、貧困格差の是正、利益配分の再構築など、表面的な論理の裏には、本来彼らが隠し持っているニーズやモデルが存在する。
そんな視点で今後の有識者の発言を見ていくことで、案外シンプルに、私たちが今後迎えることになる社会構造を垣間見ることができるかもしれない。