50歳を超えてくると幸福度は増していくという話
生命保険のサイトであったかと思うが、年代別の幸福度の調査結果がグラフになっているのを見た記憶がある。男女別に数値化され、折れ線グラフとなっていたかと思うが、それによる男性の幸福度最低年齢は40代となっていた。
「おい、オレ40代なんだけど」
と、思われた方も少なくないかもしれない。いやいや、あなたはラッキーである。幸福度は40代は最低となるが、それから80代まで上がり続ける。つまり現在がボトムだからだ。
よって、40代でご自分を不幸と思われていたり、生きるのが大変と感じられている方でも、しばらく頑張って50代を迎えると、その後は寿命を迎えるまで、幸福度は右肩上がり状態が続くことになる可能性が高い。
なお、女性の場合は生涯を通じて男性よりも安定して高い。また、頂点は60代となり、それ以降は若干下がる。
さてさて、ではなぜこのような数値がでるのだろうか。これにはしっかりとした理由があるように思う。
■40代男性の幸福度が最も低い理由
40代の男性がなぜ最も幸福度が低いのか。要因は単純である。それは大変な時期だからだ。
40代といえば、まっとうに働いていらっしゃる方であれば、最も責任がありしかも組織として部下を率いる立ち位置にあるはずだ。
また、そんな重責を担っていなかったとしても、これまでのキャリアをベースに、立ち回るべき領域は広くなっているはずである。しかし体力的には右下がり状態にシフトしているので、日々かなりの負担がかかることになる。
要因は別にもある。
40代といえば、お子さんが高校から大学へと進学する時期に差し掛かる。これまで段階的に生活の安定を築き上げてきたわけだが、意外にもコストがかかるようになり、家計はかなり大変なこととなるはずである。
仕事が大変で、身体がしんどいにもかかわらず、経済的にはひっ迫する日々である。
気を抜けば部下から突き上げを食らうこともあるだろうし、上司からの目も厳しい。このため、そろそろ楽をするかなどとはいっていられない。リストラにでもあおうものなら、家庭崩壊にもなりかねない。このような状況下の中で日々を過ごしていかなければならない。
「俺の人生っていったい・・・」
そんな疑問がふとよぎるかもしれない。
よって、40代において幸福感を感じることのできる機会は少なくなり、幸福度も下がるというわけである。
なお、女性の場合40代における落ち込みは数値的にない。そのまま安定して比較的高い水準を維持し、60代にピークを迎える。
女性とて楽はできないし、一人で生きていらっしゃる人も少なくないだろうから、一概に言えないわけだが、統計的には家庭内で家事と子育ての日々なので、旦那さんがしっかりと働いてくれていれば、少なくとも社会の冷たい風をもろにうけることはない。
60代をピークとして幸福度が下がり始めるのは、多くの場合、旦那さんが他界され、孤独となられることが多いからではないかと思う。
■五十にして天命を知るまではいかないが
ということで40代の男性諸君よ。あなたは今もっとも大変な時にいる。しかし今が大変だからと、今後の人生もずっと大変かというとそんなことはない。あと少し頑張っていただきたいと思う。
「それ、ホントかよ」
確実とはいえないが、統計的にはそうなるので、むしろ良い要素を信じて生きた方が良い。
実際に50代になると、子供たちは独立するので生活コストは徐々に下がっていく。すぐにベソをかいていたハナタレ小僧が「オヤジも頑張れよ」などといっぱしの事をいうようになるのだ。
40代の大変な期間において、多くの人は少ないコストで生活するノウハウや、お金をかけずしても楽しめる余暇の過ごし方を学ぶことになる。つまり、生活はほぼ強制的にエコ化を強いられる。
しかし50代となって生活コストが下がったからと、再び生活水準を向上させようとか思わない。この頃になると、人生の中で得られる真の幸福とは、物欲を満たすことではないことに気づき始めるものだ。
「単に貧乏なだけじゃないのか?」
これらの変化は、まだそれを経ていない人にはわからないかもしれない。しかし実際に経験をされていらっしゃる方であれば、なるほどと感じていただけるはずである。
さて、日々の生活の中で支出が減少していくわけだから、自ずと生活は楽なものとなる。また、子育てといった責任からは解放されるので、以降は自分や夫婦での楽しみ方を追求していけばよいことになる。
また、そんな生活を続けている間に、子供たちは結婚をして家庭を持つことになる。しばらくの後には孫が生まれて歩くようになり、「ジイジー」と、あなたにまとわりつくようになる。その屈託のない笑顔を見たなら、あなたはそれだけでも幸福感に満たされるというわけである。
■だからこそあと少し頑張ろう
人生はひとそれぞれだから、すべての人が統計値に則したものとなるとは限らない。実際にミドル以降の自殺も社会問題となっている。
しかし50代も半ばを超えるようになると、そこには半世紀を超える経験が残る。それは、苦悩の連続であったかもしれないが、中には至福の時もあったことだろう。
そんな経験を積み上げることで、自らの幸福がなんであるのかを次第に認識できるようになる。
「いろいろと旅をしてきたが、結局ここがいいね」
と、そんな境地を得ることになるわけである。これは、40代以前ではまず理解はできないだろうし、しようにもそんなことを考えている余裕はない。
ところが50代以降においては、それが既婚者であっても単身者であっても、おおよそを理解することができるようになるものだ。同年代の人々を見ていると、そんな人々が多いように思う。
40代のあなたもまた、10年後においてきっと同様の境地を見つけることになるはずだ。
だからこそあと少し、頑張ってみていただきたい。あなたにも、きっと素敵な笑顔が戻るはずだからだ。