50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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日本のマイホームの耐用年数が生む老後の悲惨な生活


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■マイホーム購入と同時に背負い込むことになるリスク

「夢のマイホーム」とは、バブル経済の最中に用いられた言葉だと記憶している。当時は土地が高騰していたこともあり、首都圏や大都市圏においてマイホームを取得することは一般的なサラリーマンにとって困難を極めることだった。最近では、再び首都圏などで一部マンション価格が高騰しているようだが、ずいぶんと無理をされてマンションを購入される方も多いようである。

マイホームは、一生で一度のもっとも大きな買い物である。それでもマイホームが欲しいと思う方が多いのは、住環境が私たちの生活において、いかに重要なものであるかを示唆している。ただし、日本のマイホーム事情は買ったらそれでもう安心というわけには行かない。

まずは、長期に渡る返済である。長い人生でかつ終身雇用制度が消失している日本において、現在の収入を定年まで維持することは難しい状況となっている。バブル以前のように、年功序列で給与が上がり、なおかつ終身雇用によって定年まで勤め上げることができるのであれば、マイホームを購入するのも悪くはないが、現状、サラリーマンとて安定した収入を生涯に渡って維持することは難しい。よって現状は支払いが可能であったとしても、10年先20年先において、その額を返済し続けることができる保障がない。仮に失業などしようものなら、返済は滞り、よってマイホームは競売にかけられることになる。

また、仮に定年までなんとか仕事を続けることができ、しかも若干ながら給与が上昇したという方であっても、実はマイホームを持つことが、生きる上で大きな負担となるリスクが存在する。それは、日本の家屋の耐用年数が短すぎるという点である。

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■人生で最も高い買い物をしてもそれを生涯利用できないリスク

日本の家屋の耐用年数が短すぎることについての違和感は昔から持っていた。たとえば、結婚をしたサラリーマンが30歳でマンションを購入したとする。昨今、実質年収はまだまだ下落傾向から脱していないことから生活に余裕はないので、返済は35年ローンの頭金ゼロでの購入である。すると、この人がマンションのローンを完済するのは、65歳ということになる。今後は定年年齢も引き上げられることだろうから、サラリーマンとして勤め上げることができれば、定年と同時にマンションの返済は完済することになり、それから以降は、年金をもらいながらローン負担のないささやかな老後の生活を満喫しようとの人生設計も立てることができそうである。

マイホームとは自己所有であるわけだから、生涯にわたり住み続けることができる。大家に突然出て行くように言われるリスクはない。ローンも完済しているし、ささやかながら安心して住み続けることができるといった未来を思い描く。ところが現実はそうはならない。実に悲惨な状況が老後に訪れることもあるのだ。

さて、この問題、どこにあると思われるだろうか。

すでにおわかりかと思うが、耐用年数の短さである。マンションは、早ければ築35年から立て替えの必要性が生じ始めると言われている。つまりローンを完済し、これからは妻とともにゆったりとした老後の生活を楽しもうと思い始めた矢先に、建て替えの必要性が生じることがあるということである。

すでに年金暮らしなので、建て替えの余裕などはない。退職金はあるもののそれを使ってしまっては、老後の生活の不安が増してしまうので使うことはできない。
「さて、どうしたものか」と頭を抱えてしまうリスクがあるわけである。

■日本のマンションや戸建ての耐用年数が短い理由

なぜ、日本のマンションや戸建ての耐用年数はこれほどまでに短いのだろうか。
「日本は地震大国であるため、築年数100年といった建物を建てるのは難しいのでは?」
とそんな答が返りそうである。確かにヨーロッパなど、築100年を超える物件が多く存在する国を見てみると、地震が少ない地域であることが少なくない。しかし日本の建築技術の水準は非常に高い。地震大国であれ、一度建てれば何世代も住み続けることができる住宅が建てられないはずがない。

では、日本の住宅の耐用年数が短いは、なぜなのだろうか。

これは、日本独特の消費者ニーズにも要因の一つがある。日本の場合、マイホームを新築で購入することを希望する人が多い。また、不動産の資産価値は建物ではなく土地に存在している。ちなみにマンションや戸建ての建物の価値は、築10年も経過すればその多くを失うことになる。戸建ての場合、建物が足かせとなり高く売ることができないケースも多い。

一方で、欧米の家屋の場合、土地よりも建物の評価が高い。このため、しっかりとした建物であれば、それが戸建てであれ集合住宅であれ、下落がしにくいという側面がある。よって欧米の人々は、必要に応じてこれまでの家を手放しては、別の家を購入し、住み替えをおこなうことが一般的である。つまり、生涯に何度も住居を買い換えることが可能となっている。

また、耐用年数の短さは、売る側の事情によっても生み出されているように思う。今後、日本の人口は下降傾向へとシフトすることが確実となっている。つまり徐々に人の数が減るわけであり、当然住居の需要も一部地域を除いて低下し始める。このような状況の中で、築100年のマンションや戸建てを作って販売することは、自分の首を絞めることにもなりかねない。日本においては、マンションであれ戸建てであれ、世代が変わる毎に新築として購入する流れを崩したくはないわけだ。

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■現状のマイホームに存在する大きな欠点

しかし考えてみればおかしな話ではある。急速に下落していく数千万の買い物を世代が変わる毎にしなければなければならない。30歳のあなたが生涯をかけて支払い続ける物件も、あなたが年金をもらう頃になれば、取り壊したり建て替えたりする必要が生じる。あなたのお子さんは、結婚と同時に再び数千万の借金を余儀なくされるわけである。

仮に、一度建てたり購入した物件を、100年の単位で使い、住み続けることができるのであれば、自分の子供や孫は、多大な借金を背負うことなく、豊かに生活をすることができるはずである。子供の世代においては、毎月のローンに加えて、せっかく手にしたボーナスを、右から左に流してしまうことなく、それを用いて生活を豊かにしたり、貯蓄をさらに増やすことができるはずなのである。

また、定年を迎えた後に、建て替えの必要性に頭を抱える必要もなく、まさについの住処として生涯安心して活用できるはずなのだ。

■100年以上住み続けられるマンションや戸建ての建築は十分に可能

さて、では実際に日本の技術において、たとえば耐用年数100年以上のマンションや戸建ては建築可能なのだろうか。

まずはマンションについてだが、マンション寿命を左右するのは主要構造部の鉄筋コンクリートである。鉄筋コンクリートの耐用年数は90年以前60年といわれていたが、今世紀に入って100年、そして200年の耐用年数を唱うものも登場してきている。中には500年コンクリートが大型建造物に用いられることもあるようだ。つまり現状において、3世代に渡って十分に住むことのできるマンションは十分に建築可能なのだ。

また、戸建て住宅の場合はどうだろうか。日本の家屋の場合、極端な言い方をすると、木と紙で家を作る。これでは確かに耐用年数は短そうに思える。しかし実は、江戸時代に建築された家屋が、度重なる地震をものともせずに、今なおしっかりと建っていることを考えれば、実はそれだけの建物を建てられないことはないことが理解できる。

実際、100年以上使えることを売りにした戸建て住宅も増えつつある。これには、戸建て住宅の外壁ならびに基本構造を担うPCパネルを強化したり、これを箱型でさらに強固なものとしたり、さらには地震の揺れを構造的に回避できる設計を施すなど、耐用年数が長く、しかも大きな地震にも十分に耐える戸建て住宅はすでに存在している。また、これらの住宅は、震度5強以上の度重なる地震においても、まったく影響が出ていない。つまり、日本の建築技術を持ってしてその気になりさえすれば、3世代、4世代に渡って住み続けることができるマンションや戸建て住宅は十分に建築可能なのだ。

■今後の日本のマイホーム耐用年数を大きく延ばしていく方法

すでに技術的な問題はクリアしているのだから、提供側がその気になりさえすれば、日本においても100年、200年住むことができるマンションや戸建てを建てることは十分に可能である。また、実際に耐用年数の長さを売りにしている物件も徐々に増加はしている。
しかし、先にもふれたように100年以上も建て替えが不要となれば、人口が減少傾向にもあることから、提供側は自らの首を絞めることにもなりかねない。このため、意図的に耐用年数を上げることにブレーキをかける可能性もある。

しかしもし、マンションや戸建て住宅の耐用年数が100年、200年と延びていけば、建物の消却年数が延びるとともに、価格の下落水準も今よりなだらかなものとなるはずである。ちなみに欧米においては、築100年の集合住宅がいまなお高い価格で売買がなされていたりする。実は日本においても、このような状況を作り出す方法はある。

それは、今後、マンションや戸建てを購入する人は、建物の内装や見た目、利便性などに加えて、耐用年数をしっかりと確認し、それが短いものには決して手を出さないことである。耐用年数の長さを売りにしており、しかもそれを実現するための技術やデータのしっかりとした裏付けを持つマンションや戸建てを購入することである。

なお、業者によっては「建物は管理によっていくらでも耐用年数は延びるものです」などといった曖昧なトークで顧客を納得させることもあるだろうが、30年を40年に延ばすのと、100年を150年に延ばすのではまったく意味が異なることを理解しておきたい。

■今後売り出される物件の耐用年数が伸び始めることで生じるメリット

現在の日本の建造物の耐用年数はあまりに短すぎる。「マイホームは資産」といった表面的な売り手のトークをそのままに購入したとしても、結果的に残りの人生よりも短い耐用年数の高い買い物をするだけである。しかもそんな高い買い物に、生涯年収の30%から50%の金額を支払う必要がある。これはあまりにも無駄なことだとは思われないだろうか。よってこの日本独自の慣習は、私たちの子や孫のためにも変えていくことが急務だと言えるだろう。

なお、今後マイホームを購入する人の多くが、耐用年数を重視していけば、提供側は耐用年数の長さを売りにした物件を販売せざるを得なくなる。なぜなら、耐用年数の長い物件を提供しなければ売れなくなるからだ。売れなければ工務店は経営を存続することはできない。このため、どこよりも耐用年数の高いものを作ることだろう。また、100年以上の耐用年数を実現するマンションや戸建てのコストも、徐々に低下していくはずだ。耐用年数100年が基準となれば、それを如何に安く提供できるかの差別化競争が始まることだろう。あとは買い手が売り出された物件の真のクオリティを見切るための目を持ったり、専門業者の目を用いて物件をチェックする賢い消費者になれば良い。

耐用年数が100年、管理方法によっては150年は住み続けることができるのであれば、子や孫の世代にそれを譲ることができる。それが一般的なものとなれば、贈与税などにも見直しがかかるかもしれないし、購入と同時に急速に価格が下がったり、そもそも建物に資産価値がないなどといった状況にも大きな変化が訪れることだろう。

そしてなによりも、老後を迎えた段階において、マンションや戸建ての建て替え問題に頭を抱えるといった大きな問題は減少していくはずである。

これからマイホームを手にするご予定の方は、是非とも耐用年数についてしっかりと把握したうえで、真のついの住処を購入していただきたいものである。それはすなわち、あなたの、そしてあなたの子孫の幸せにもつながっていくことだからだ。

 


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