50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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非正規労働者の交通費や賃金自体を根本的に見直す必要性


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■地方ワンコールワーカーの過酷な実態

俺は週に2,3日程度ワンコールワーカーになる。先日もとある流通倉庫に出向き、コンテナの荷下ろしに汗を流していたが、同じ日雇い派遣会社から派遣された若い人間と一緒になった。その現場は、俺の住まいから車で5分くらいの所にある。ちょっと話をする機会があったので、彼の住まいを聞いて驚いた。現場から100㎞以上もあったからだ。彼は5時前に起きて車で現場までやってきていた。

「君の住む街にも仕事はあるだろうに」
「いつもはあるんですが、今日はこの現場しかなくて」

確かに地方都市と首都圏や大都市では距離の概念には差がある。地方都市では30㎞程度であれば、「わりと近い」といった感覚を持つこともある。しかしさすがに100㎞以上となると、話は違ってくる。首都圏であれば、東京駅周辺に住む人間が熱海に仕事に行くようなものだからだ。しかもワンコールワーカーに交通費の支給はない。

計算をしてみると、往復のガソリン代におよそ1800円を要している。その現場での収入はおおよそ7000円だったはずだから、経費を引いたその日の実質収入5200円だ。また、当然のこと彼は高速道を使っていない。往復約5時間の道のりである。家を出てから、仕事をして帰宅をするまでの時間は14時間程度だろうか。これの時間を時給換算すると、370円ということになる。

彼はこの仕事を自分の意思で蹴ることはできる。しかし他にないのなら致し方ないという事情もあるだろう。いかがだろうか。これを過酷な労働実態といわずして何というのだろう。

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■非正規労働者にも交通費を支給する動きは?

同一労働同一賃金法をベースとして非正規労働者にも交通費を支給する動きは確かにあるようだ。しかしこれもまたその動きは極めて鈍い。「交通費は労働賃金に含まれている」との派遣会社からのアナウンスも耳にする。しかし先にご紹介したような労働を余儀なくされている労働者もいる。これのどこに交通費が含まれているというのだろう。

また、支給されても1日最大150円までといった冗談なような額であり、実質の交通費とは大きな隔たりがある。国会審議における「本件についてはさらに加速させる形で」が笑えてしまう。また、ワンコールワーカーに対する交通費支給となると、道はさらに険しく遠い。請負という仕組みが、劣悪な労働体系を生み出しているからである。

■非正規賃金正社員の8割への動きも始動してはいるが

先日のニュースで、政府は非正規労働者の賃金を正社員の8割程度に引き上げる方向で検討作業に入るとの記事を目にした。同一労働同一賃金の実現に向けた動きが始動しているようである。これについては、好ましいことだと思う。しかし、段階を経るこの動きには問題もある。

動きが鈍いのは致し方ないとしても、ひと時の動きは、次の選挙でどうにでもなってしまうリスクを孕んでいるからだ。世論が別の方向へ向いてしまえば、その動きはなおざりとなる。このまま8割が定着してしまう可能性もあることだろう。

さらには、8割では同一賃金とはいえない。また、そもそも8割のベースとなる金額とは、年収から算定したものなのだろうか。

たとえば基本給20万円の正規労働者がいたとする。賞与がしっかりと5か月分支給されているとすると、年収はおおよそ340万円ということになる。この8割となると、年収272万円。つまり月収23万円。日当たりおおよそ1万1千円。これが8時間の労働によって支給されるのであれば時給換算は1400円といったところだ。

ところが月給20万円であっても、実は基本給が14万円という会社も少なくない。まさかこの基本給の8割の計算をするのではないかと心配になる。14万円の8割は11万円程度。時給換算では、現在の最低賃金を下回ってしまうのだ。

まさかとは思うが、偉い政治家の先生には、この辺の認識もしっかりと持っていただきたいと願う。賃金是正は、あくまでも年収をベースに行う必要がある。

■労働とその対価となる賃金の認識を変える必要性

企業における、末端の労働に高い賃金を支払いたくないという思いは理解できないでもない。ところがこの部分の労働力が重要でないかというと決してそんなことはない。
たとえば、大手流通業において、クライアントから委託を受けて製品の入出荷を行う現場の場合、正規社員はわずか数名、あとの数十人はすべて非正規労働者で構成される場合が少なくない。

よってこの非正規労働者のすべてが、明日から確保できないとなると、その段階でこの法人は運営すらできなくなってしまう。つまり、労働の重要度は、経営サイドか末端労働かの相違によって決めることができないのだ。

ではなぜ、末端の労働者は賃金が安いのだろうか。これは需要と供給の法則に則っている。つまり、安い賃金でもこれまでは労働力を確保することができたからという単純な理由に過ぎない。

よって末端労働であっても、労働力が容易に確保できなくなれば、単価は自然に上がるものである。昨今、ハンバーガーチェーンの時給が1500円で募集されていることが記事にもなっていたが、働き手を確保することが難しくなれば、企業は賃金を上げざるを得ないのだ。

末端の労働賃金が上昇すれば、当然の事企業の収益性は低下する。しかし現状、企業には膨大な額の内部留保が使われずに積み上がっている。その総額は500兆円を超えるともいわれている。国家予算の実に5年分の資金である。そしてこれがデフレ経済から脱却することができない大きな要因となっている。確かにこれでは、日銀がいくら金を刷ったとしても、デフレ誘導は難しい。そもそも多くの労働者に使う金がないのだから、市場の需要が拡大せず、よってモノは売れない。

企業の収益性を下げてでも、末端の労働者がまともな生活を取り戻すこと、そしてより多くの消費を作り出し、市場を活性化させることは、今後の日本経済の発展においても、とても重要な策となる。

末端の非正規労働者であっても、真面目に働けば、最低限の生活を確保することが可能となり、望めば結婚をして幸せな家庭を築くことができる日本。この実現を唱えたとしても、決してバチはあたらないと考えるが、いかがだろうか。

 


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