ミドルに向けて「SIMフリーってなに?」に答える
■若者には当たり前のことが当たり前でない事実
先日のこと、同年代、つまり50代半ばの知人から「最近SIMフリーって言葉をたまに聞くんだけど、あれってなんなの?」という質問を受けた。
最近では新しいテクノロジーやそれにともなうサービス、そして言葉が日々登場し続けるので、これについていくのは確かに大変である。一方、現代の若者であればこれには容易についていくことができるはずである。
なぜなら、たとえば今、大学を出て就職をしたフレッシュマン世代の多くは、平成の時代に生を受けていたりする。平成元年といえば1989年。1989年といえば3%の消費税が施行された年だが、ちなみにこの時代、すでにファミコンは一般化しており、多くのファミコンソフトが世にあふれていた。
爆発的なヒットとなったスーパーマリオブラザーズのリリースは1985年だったと記憶している。すでにゲームのポータブル化へと進歩を進めている頃であり、同年、ゲームボーイがリリースされている。そして、そんな時代に生まれた現代の若者にとって、テクノロジーは生活に密着したサービスツールのひとつでしかない。
一方で、私たちの生まれた時代は、横文字技術がまだあまりなかった頃だから、この爆発的な進化には結構厳しいものがある。生まれたときにない概念を、大人になって新たに学ぶということは、案外大変なことなのだ。
たまたま仕事にしていた時期があったから、俺はなんとか今のテクノロジーを理解することができるが、もし別の仕事をしていたら、500%無理だと断言できる。そう考えると、同世代より上の皆さんは、とても頑張ってテクノロジーを追っかけている。
■「SIMフリーってなに?」に答える
さて話を戻そう。SIMフリーを理解するためには、まずSIMについて理解する必要がありそうである。SIM(Subscriber Identity Module:シム)とは、携帯電話やスマートフォンの携帯電話番号や、情報通信サービスのアカウントを特定するための固定ID番号が記録されたICカードだ。
もし携帯電話やスマートフォンをお持ちであれば、ほぼ確実にこのSIMカードが刺さってると思われて間違いない。なぜならこのカード自体が電話番号など決定しており、SIMを抜いてしまえば、その携帯は電話番号を持たない箱になるからだ。
さて、これは2015年前半までに限っていえることだが、現在は、キャリア、つまりドコモやau、ソフトバンクなどが提供する携帯電話やスマートフォンには、提供企業以外のSIMをいれても機能しないガードがかけてある。これをSIMロックと呼んだりする。つまり、ドコモで当初契約して用いていたスマートフォンは、そのままではauやソフトバンクのSIMをいれても機能しないのだ。これは逆もまたしかりである。
これではせっかく高いお金を出してスマートフォンを購入しても、通信事業者を替える必要がある場合、そのスマートフォンをそのまま使うことができない。不便なのだ。
ただし、SIMロックはお金をかければ解除することもできる。でも、企業の勝手でロックをかけてあるのに、それをユーザがお金を出して解除するってのもちょっと釈然としない話である。
ところが、最近になってどこの通信事業者のSIMをいれても使えるスマートフォンが発売されてきている。つまりこの製品には、SIMロックがない。これをSIMフリーと呼んでいる。だから、「SIMフリースマートフォン」とうたっている商品は、通信会社に依存することなく、どこでも選択し、そのSIMをいれて使うことができるし、海外旅行などでは、使い捨てのSIMをいれて使うこともできる。便利だ。
また、最近ではデュアルSIMに対応する機種も増えつつある。デュアルSIM機能を持つスマートフォンの内部には、SIMカードを挿入するスロットが二つ内蔵されている。このため、たとえば日本で使うSIMと、海外で使うSIMをいれておけば、それを切り替えて使うことができたりする。海外出張が多い方などは特にお勧めである。
「そんなに便利なら俺もSIMフリーのスマートフォンにしようかな」
と思われる方も多いかもしれない。2015年度中には、SIMフリーを義務化することを総務省が発表している。だから、わざわざSIMフリー端末を購入しなくても、次に機種変更をするタイミングにおいては、どのスマートフォンもSIMフリーとして提供されている可能性が高いといえそうだ。まあこれ、一般化しないほうがやっかいで問題ありな話だったわけだけどね。
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