シニア層のお金の使い方が上手な理由
■なぜシニア層はお金の使い方が上手いのか
シニア層の中には、お金の使い方が上手な方がとても多い。質素な生活をしているから、たぶんは日々の生活に困窮しているのだろうと思うと、意外にカネを持っていたりする。少ない年金などの収入の中からでも、月々少しづつ貯蓄を続けている方も多くいらっしゃるようである。
私は若い頃、それがちょっと不思議だった。シニア層は当然のこと、長いこと生きてきたわけだから、それなりの人生経験は積んできているはずである。しかしそれが、お金の使い方にまで及ぶ意味がよく分からなかった。
生活は経済活動の一端であることはわかるが、お金の使い方は、技術のひとつといえる。そして技術とは、何らかの教育や情報を得なければ習得できないものである。ところが、稼ぐためのノウハウ本は数多く出版されているものの、お金を上手に使うノウハウを提供する書籍は、それに比べて少ないし、そもそも皆そんな勉強をしたのだろうかと、少々合点がいかない部分があった。
しかしである。
自分があるトンネルともいえる苦境的一時期をくぐり抜けるとき、そのノウハウは半強制的に身につくものであることを悟った。まあ、人の人生は十人十色だから、誰もが同様のルートでこの技術を学ぶとは限らないし、もともと知り抜いていた方も少なくはないことだろう。しかし私はそのトンネルにおいて、技術を学ぶことになったわけだ。
■強制的に学ぶことになるお金の使い方
私の場合のそのトンネルとは、子供が大学へ入学してから卒業するまでの期間だった。
子供たちは既に成人しているが、ひとりは公立高校から国立大学に進んだからまだよかったものの、ひとりは高校から大学まで私立に進んだものだからカネがかかった。既にご存知のように、私は不埒に生きている。安定収入を得られているわけではなかったから、教育費を拠出するには、それなりにない頭を働かせる必要があった。
そしてこの時に学ぶのである。いかにして支出を減らすべきか。それでいながら、生活に困窮することなく切り抜ける方法はなにかをだ。これは半強制的に学ばされることになった。これといった貯金もない無計画な私の場合、それ以外に道はなかったからだ。
しかしこのトンネルは、多くの気づきを与えてくれるものである。たとえば、見栄をはって無駄なモノにお金をかけることの無意味さや、質素な生活の中にも、実は豊かなライフスタイルは、存在しうることなどを知ることになる。
すると、意外にもあまりお金を掛けずして、生活が成り立つことに気づく。周囲からすれば質素な生活であり、困窮した状態にあるように感じられるかもしれないが、案外楽しい生活であったりもする。まあ、現状私はまともな職についていないので、そんな余裕はないわけだが、それでも確実にいえるのは、若い頃に必要とした額はなくとも、同様の豊かさを手に入れることができるだけの自信はあるつもりだ。
これで合点がいった。でもまあ、人生なんてそんなものなのかもしれない。先人は同様の苦労をされたのだろう。あの屈託のない笑顔は、多くの苦労の上に成り立つ。しかしだからこそ、その笑顔には、とてもかなわないと思えるほどの素晴らしさが垣間見えるのかもしれない。
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