55歳になって考える自分の理想的な老後の過ごし方
■間近に迫りつつある老後
精神的にはいまだ未成熟であることから、自分がじいさんに近いおっさんになっていること自体、まだ把握しきれていないが、それでも5年後に迫る60歳という年齢は、とても近く感じるようになっている。
まあ、私の場合60になったからといって、年金がもらえるわけではないから、老後生活が始まるわけじゃないんだけどね。ちなみに私は年金を受給したとしてもその額は少ないし、そもそも65までは年金生活はできないので、60になったから何がかわるかというと何にもかわらないわけなんだけども。
さて、そんな私は今55歳なわけだが、昔であれば55歳で定年を迎え、以降は老後の生活をエンジョイできた時代もあったと聞いている。実にうらやましい話である。ただ、じゃあ何もやらずに生きて行きたいかというとそうでもない。何らかのことはやっていたいと考えているし、そもそも何かをやらなければ生きていけない私にとって、選択肢はないともいえる。
■少し間違うと悲惨な事になる老後生活
しかしそんな私も、理想的な老後の過ごし方を、プランとしては持ってはいる。
私のような不埒な生き方をしてきた人間は別として、真面目に働きあげた人々には、定年と同時に年金暮らしという第二の人生が提供されることになる。多くの方は、その到来を心待ちにされていることだろう。
ところが、真面目に働き続けた人が、年金暮らしを楽しめるのは、せいぜい始めの1年程度であるとの事実も散見される。これは、実際に私の諸先輩方々を見ていて感じることだ。
当初は自由な時間を謳歌することができるものの、次第にそれにも飽きてしまう。とりあえず生活はできるが、することがないというのだ。これ、働かなければならない側からすれば羨ましすぎる悩みにも取れなくはないが、実際には、事態は深刻のようだ。
別でも書いたが、朝食事をとると、カフェに行きそこでボーッとして時間を過ごす。そして昼に一度家に帰り、食事をしたら、次は公園にいってボーッとして夕方を待つ。実際にカフェや公園で、このようなご老人を見かけることがあるが、皆楽しそうには見えない。
あまりに暇なので、やはり働こうと考えるが、さすがに60代になって仕事はない。結果、日々ボーッとした時間を無駄に費やし、そして老いていくことになる。
働く世代の頃は、毎日行かなければならない職場があったし、職場にいけば山積の仕事が待っていた。それを必死に消化する。微力ながらも会社に、そして社会に貢献している自分に誇りを持てたし、それなりの充実感も得られた。また、夕方になって帰宅すると、あたたかい夕食が待っていたし、奥さんの機嫌によっては、晩酌が用意されていたりもした。
ところが、定年退職と同時に、やることがなくなり、そして経済とのラインが断たれてしまう。奥さんの機嫌は次第に悪くなるから家にはいにくいし、さりとて行く所はカフェか公園程度しかない。派手に遊ぼうかとも考えるが、老後にそんな経済的余裕もない。
■理想的な老後の過ごし方とは
さて、いかがだろうか。これはどなたの老後にも起こりうる現実である。そして、だからこそ今、考えておくべきである。老後の過ごし方をだ。
過ごし方の選択肢は、人により様々であるはずだが、最も有効と現在思えていることは、小さな仕事を若い頃から時間をかけて育て、準備をしておくことだ。老後に持つべき仕事だから、大きく儲ける必要はない。
単なる小遣い稼ぎ程度でもよいと思う。また、毎日必死に働く必要のない小さな仕事でよいと思う。自分で用意する仕事だから、雇用されるわけではないので、仕事環境は自分でどうにでも決めることができるはずである。
老後の仕事は、収益よりもむしろ適度なやるべきことの確保にその目的がある。だから、「定年退職したら退職金を投じて大きく儲けよう」などと考えるべきではないと思う。60代の多大な苦労は身体を壊すリスクがあるし、そもそもビジネスが立ち行かなくなったら、それこそ老後破産を招くことにもなりかねない。
よって多大な資本を投じるものではなく、小さなビジネスを、時間をかけて老後を迎える以前から育てていけば良い。サラリーマン人生を一直線に歩まれた方は、仕事を作り出すという概念は認識しにくいと思われるので、簡単な例を挙げることにしよう。
たとえば、あるものを仕入れて販売をするビジネスを考える。商品を500円で仕入れて、1000円で販売するビジネスを考えたとする。もしこれが実現すればその時点で500円は1000円になる。この利益を使ってしまわないで、次の仕入れに回すなら、商品をふたつ仕入れることができる。また、二つの商品を販売できれば、手元のお金は2000円となり、次は商品を4つ仕入れることができるようになるはずだ。
実際には諸経費などがかかるので、これほど単純かつ順調には資金は増えないが、小さなビジネスを、時間をかけて育てるというのは、こういうことだ。これであれば、初期の資本は500円。つまり、誰にもできる。ようは利益を再投資し続けるわけだ。ビジネスを育てている間は、小遣いは手に入れることができないが、その代わりあなたの資本は増え続け、しかもビジネスは少しづつだが育っていくことだろう。
また、小さいビジネスであっても長年継続していけば、次第に顧客数も増えるものだ。そして顧客が増えると、そこには新たなニーズが発生し、そのニーズに応じるための小さな義務、つまりあなたの仕事が形成されることになる。
定年退職をしたのなら、今度はそれを本業とすればいい。あなたは朝起きて、カフェに直行するのではなく、まずはひと仕事。そしてそれが終わってからカフェにいってのんびりすればいい。
また、この頃は、小さなビジネスとはいえ、お小遣いを得る程度には成長しているだろうから、得たお金で奥さんを温泉に連れ出したり、たまにはフレンチレストランに招待してあげれば、あなたの株が下がることもないし、奥さんの笑顔も確保することができることだろう。
いかがだろうか。少なくとも5年程度前から、準備をされてみてはいかがだろうか。
なお、「60になってから考える」と思っていると、具現化できる可能性は低くなるので注意が必要である。なぜなら、60代になると、今以上に思考力や行動力、忍耐力は鈍る可能性が高いからである。準備は早めに始めて、それをじっくりと育てる配慮が必要となるようである。
生きがいのある老後、是非ともご自分の手で確保していただきたいと思う。それがあるとないのでは、第二の人生は大きく異なるはずだからだ。
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