50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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わずかな承認欲求を満たすことを生き甲斐に働く若者の笑顔


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港に近いエリア周辺では、海外から船で運ばれて降ろされたコンテナを収容する流通倉庫が多く点在するものである。倉庫ではコンテナを開封し、荷をおろしては輸入業者に納入するためにパレットに積み変える作業が多々ある。

港湾労働業務は労働者派遣が禁止されているが、船から下ろしたコンテナがトラックによって流通倉庫に運ばれた段階で陸送となる。よって以降の作業に禁止要件は該当しない。

いずれも重労働であることから、日雇いの請負派遣労働者が充てがわれる。日雇い労働者からすれば、比較的仕事が得やすいことから、多くの労働者が集う。

時給は若干高めに設定されているが、それもそのはずで、20kg以上はある荷物を1日数百と運ぶことになる。たまにジムでも鍛えているわけだが、これはあくまでもビジュアル的体型維持のためであり、よって筋肉の割にパフォーマンスに乏しい私には過酷な作業である。

しかしこの作業を好んで続けている若者がいる。今回はこの若者についてのお話から進めていくことにする。

■「褒められた」と素敵な笑顔の若者

どのような仕事であれ、そこには猛者的な人は存在するものである。今回ご紹介する若者は、その典型のような人間であり、一般的な労働者の力を10とするなら、彼は20程度の力を持っている。

私が重い荷を抱えてふらついていると「大丈夫?」と支えてくれる。彼は重い荷を、あたかもバレーボールでもあつかうように軽々と持つから驚きである。

「力あるね。すごいね」と私が言うと、
「あ、また褒められた」と彼は笑う。

その屈託のない笑顔は、おおよそ大人にはできない純粋なものであり、赤ん坊の笑顔とかぶる。
彼とはこれが初見だったが、私はその笑顔に惹かれた。その日の昼休み、彼とは弁当を食べながらいろいろと話をした。

「この現場、長いの?」
「いつもじゃないけど、好きだから」
「大変じゃない?」
「うん。でもここだとみんなに褒めてもらえるから」

聞くとこれまでいろいろな現場で働いたものの、それぞれ厳しい扱いを受けたようだった。しかしこの現場では、彼の持つ力を大いに発揮できるし、同じ労働者や現場監督者などからも、褒めてもらえることが嬉しいという。つまり彼は、この過酷な現場において、承認欲求を満たす機会を得ている。

ちなみに承認欲求とは、他人から認められたいとする感情のことであり、基本的に人はこの欲求を強く持っている。このため、承認欲求が満たされる環境においては、賃金にかかわらず、高いモチベーションを発揮できるものである。

これをお読みの方の中にも、低賃金でありながら、仕事が楽しいという方はいらっしゃるはずである。そしてそんな方の多くは、何らかの形で生き甲斐を見出すことができていたり、承認欲求を得ることに成功していることだろう。

■低賃金重労働で承認欲求なしの過酷な労働

さてここで、一般的な請負派遣労働者の苦悩にも触れておきたい。請負派遣の場合、その日の契約となるので、安定性もへったくれもないわけだが、その上で低賃金でかつ重労働であるのが一般的である。

まあ、これについてはエリアによっても異なるかもしれない。首都圏や大都市圏では、単調ながら楽な仕事も選ぶことができると聞く。しかし地方都市ではそんな選択の余地はないことが少なくない。

しかも、低賃金で重労働に加えて、承認欲求を得られない場合が多く、これは過酷以外の何物でもない。

日雇いの請負派遣の場合、現場の管理者は各々の労働者の名前を知らない。このため、多くの場合は「そこの人」といった形で呼ばれることが多い。また、黙々と作業を続けたからといって、多くの場合は成果を讃えられることはない。何かあるとすればそれはうまく事が運ばなかったときの檄であり、それもまた「おいそこ」となる。

つまり、アイデンティティ自体の行使すらできず、頑張ったからと何も得られることはない。これでは、多くの労働者が疲弊してしまうのも無理のないことだろう。

先の若者の場合、たったひとつ、僅かな承認欲求を得ることができたことで、この現場に生き甲斐を見出すことができている。たったひとつなのにもかかわらず、この現場が「好きだから」と屈託のない笑顔を作る。

なお、この若者の生活は極めて貧しいようだった。母子家庭にあり、母には低賃金の中から仕送りをしているという。無論のこと、将来の自分の結婚生活など想定にすら入っていない。その健気さに、仕事の帰り道、車を運転しながら目頭が熱くなった。

■企業や資本家への提言

現在、労働者のおよそ4割が非正規労働者として生計を立てている。最近では非正規であっても、健康保険や厚生年金などのサポートを受けることができるようになっているし、無期雇用への切り替えも徐々に進みつつあるようだ。

しかしながら、賃金格差はまだ大きいし、与えられる業務によっては承認欲求をまったく得ることができない職場も多いようだ。

「そんな仕事も必要なのだ。致し方ない」

という声も聞こえてきそうだ。確かに仕事によっては対応しきれない部分もあろうかと思う。しかしそれなら、せめてマトモな生活を送ることができる賃金を支給すべきだと思う。

企業の内部留保の総額は、400兆円を超えるともいわれている。企業が溜め込み、市場にお金が流れないから、市場は活性化しないしデフレから脱することができない。

私のようなジジイはどうでもよいが(同年代の皆さんごめんなさい)、少なくとも労働に疲弊する若者については、その膨大な資金のほんの一部でも賃金として回していただければと思う。

現在の若者を疲弊させてしまってはならない。彼らは今後の日本を背負っている。彼らから夢や希望を奪ってしまったら、それは日本の行く末に大きく影響することになるだろう。

所得は既婚率にもダイレクトに影響を及ぼす。彼らが結婚をしなければ、少子化は進む。人口が減少するだけなら、国が生き残る道はいくつか考えられる。しかし市場自体が縮小するのは明らかであり、それは消費の減少にも繋がる。

消費が減少することにより損失を被るのは、結果として企業であり、資本家であることを是非ともご認識いただきたいと思う。

 




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