50代からの貧乏ながら気楽な人生

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横行する残業代不払いは「違法行為」であることを認識しよう


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■コスト削減のしわ寄せが向かう場所とは

経営者の立場から見た経営において最も高いコストは人件費である。ちなみに正社員雇用におけるコストは、最低でも時給換算で3000円かかるといわれている。

「おいおい、そんなに高い給与もらってないぞ」と正社員のあなたはそう思われるかも知れない。しかし社会保険や福利厚生、ボーナスや退職金積立などなど、さまざまなコストを考慮すると、いくら低賃金で働いている場合でも、会社側からすれば時間あたり最低この程度の人件費コストは消えることになる。

こう考えるならば、いつでも切れる非正規労働者の存在が、会社にとっていかにありがたい存在であるかや、正社員雇用枠がなかなか開かれないことにもある種の納得がいくのではないだろうか。

このように経営にとって大きな負担となる人件費については、できうる限り削減したいと考える経営者がいたとしてもおかしな話ではない。実際、多くの企業において人件費をなるべく削減する取り組みがなされている。

コスト削減は、利益率を拡大させることにもなることから、経営においては、しっかりと管理実行すべきことではある。しかしながら、コスト削減のみに注目するあまり、違法行為に手を染める企業がとても多いのは問題である。そう、今回のテーマである残業代不払いである。

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■会社の言い分はいろいろあれど残業代不払いは違法行為である

企業運営とは、すなわち利益追求のことといえる。企業運営における損失とは罪悪なのだ。よってなんとか利益を確保し続けなければならない。ところがデフレからの脱却がうまくいっていないので、なかなか利益率があがらない。となれば内部におけるコスト削減を断行するしかない。そこで人件費をなんとかしようということになる。

しかしながら、人材や労働時間を削減しては、売上自体が減少してしまう。このため、人材や労働時間を増やしながらも、人件費を減らそうといった半ば強引な策が用いられることになる。つまり、利益追求のためのしわ寄せを、労働者に押し付ける形で利益を確保しようとするわけだ。経営側の言い分はいくらでも作り上げることができる。

「会社が倒れてしまえば従業員のすべてが路頭に迷うことになる」
「みんな頑張っているんだ。なんとか耐えてくれ」
「会社がお前の生活を支えている。そんな会社のために貢献するのは当然だろう」
「残業が発生するのは、むしろ従業員に責任がある。にもかかわらず残業代を会社が負担するのはおかしいだろう」
「儲かったらボーナスで補填するので」

などなどである。これらはある意味納得のいきそうな理由づけともとれる。しかし、労働基準法において、残業代不払いは違法行為である。法治国家において、違法行為がまかり通るのは問題がある。また、そんな要求において労働者の生活が困窮したり、疲弊した生活を余儀なくされるのは、どう控えめにみても好ましい状況とは言えない。

■残業代不払いのための企業側の策

残業代不払いを計画的に隠蔽しようとする企業も多い。たとえば、タイムカードを打刻させたうえで残業を強いたり、残業時間に上限が設けられていてそれ以降は無条件にカットされたり、名ばかりの管理職とされたうえで残業代を支払わないこともある。

ちなみに、採用時において「残業代は支払わない」という合意をさせる企業もあるようだ。利益が上がった場合、ボーナスによって還元されるので残業代は支払わないというわけである。しかしこれは、双方の合意のもとであっても無効である。残業代は、所定労働時間を超える労働に対して支払われなければならない。「儲かったら払う」は認められていない。

なお、労働基準法における労働時間は原則として1日8時間、週40時間と定められている。仮に会社がこれ以上の労働をさせた場合、企業は所定の割増賃金を支払う義務が生じる。これに労働者の仕事が遅いからとか、今は利益が上がらないからといった理由付けをすることができない。よって、残業をしているのに残業代が支払われないのであれば、この分については会社に支払ってもらう必要がある。

■不払いの残業代を請求するために用意するもの

さてでは、残業代を支払ってもらうにはどうしたら良いだろうか。これには、残業をした事実を証明する必要がある。

まず最初に用意したいのは、雇用契約書や就業規則のコピーだ。これがあれば、勤務する会社においての所定労働時間が明確となる。よってこれを超えている労働が残業となることのベースを立証ならびに把握することができる。

次は実働時間の証明である。これにはタイムカードのコピーが必要だ。しかし、打刻後に残業を強いる企業の場合には、タイムカードをもって残業を証明することができない。そこでタイムカードのコピーとともに、自ら日々の始業時間と終業時間、さらにはその日の業務内容を簡単に記して残しておくことである。また、パスモなどICカード型定期で通勤をしている場合には、駅の通過履歴をしっかりと保存しておく。

そして最後に毎月の給与明細が必要となる。

これらの書面を、毎月しっかりと保存することから始める。すると、本来支払われるべき賃金と、実際に支払われた賃金の差額を計算するための根拠やそれを証明するための素材が揃うことになる。

■残業代請求の方法

さて、先の書面が揃っていれば、会社に残業代を支払わせることが可能となるわけだが、実際問題として、今後も仕事を続けたいと考えている場合、なかなかこれができないのが実態ではないだろうか。一方、勤める会社がブラックであり、今後は退職を考えており、これまでの未払を請求したいというのであれば、しっかりと取ることができることだろう。

まずは、用意した書面のコピーを持って会社との話し合いを行う。ここまで書面が揃っていれば、残業代支払いに応じる企業も多いかと思う。しかしながら、ブラックの場合はこれに応じないはずなので、改めて内容証明郵便で書面とともに、残業代請求を送っておく。

というのも、残業代未払の場合時効が2年と定められているので、それを超える残業代の請求はできなくなる。しかし内容証明郵便で不払いの残業代を請求しておくことで、この時効を停止することができるからだ。

それでも企業が無視を続けるようなら、労働裁判や請求訴訟という段階に移行しても良い。これらは素人では難しいと思われるので、残業代の未払請求を専門に取り扱う弁護士に相談をすることで、多額の未払金を戻すことに成功する場合もある。弁護士の場合、高額の手数量を請求されるイメージがあるが、最近では専門に無料相談を受け付けている事務所もある。また、労働基準監督署においても相談窓口が用意されているので、相談されるのも良いだろう。

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■経営者が必死に作り上げるべきホワイト企業

経営者は労働者の労働力によって、大きなビジネスを動かすことが可能となるものである。業態にもよるが、労働力の助けを借りなければ、大きな売上を上げることができないビジネスも少なくない。

しかしながら、人材たる労働者の生活を、コスト削減のために疲弊させてしまうのはどうかと思う。「会社が厳しいので致し方ない」では済まされないのだ。

最近ではホワイト企業も徐々にではあるが増え始めている。しっかりと働き、しっかりと給与を得て、経営者側も労働者側も生活を豊かにしていこうといった企業だ。このような会社で働く社員の意識は高く、また、生産性もとても高いものだ。会社を中心として、そこで働くすべての人が幸せになることができる。そんな理想を、自らの努力によって実現することに成功している経営者も実際に存在するのだ。

今後は是非、そんな経営者が増えてきていただきたいと切に願う。そんな企業が各所に登場するようになれば、日本経済の今後にも、一筋の光を見ることになるのではないかと考える今日この頃である。

 


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