こども保険って、子供を持つ親がかける保険のことですよね?
■最近よく耳にするこども保険って?
こども保険という言葉、最近良く耳にする。新たな保険商品が話題なのかと思っていると、どうやら保険ではなく増税の話しらしい。こども保険とは、少子化対策の一環として、子供が必要な保育や教育を受けられるよう、社会全体で支えていこうというものだという。
一見、わるくない取り組みのように思える。ところがである。社会保険料や国民年金保険料に無条件に組み込まれる税金であり、なんとか命をつないでいるお年寄りや、弱小企業など、一律に負担を課すものとなっている。
この増税により、政府は年間およそ3,400億円を確保、これを財源として、小学校就学前の幼児に対して月5,000円を給付するんだそうだ。また、税額は徐々に引き上がることになる。つまり、終わりの始まりである。
こども保険は、イケメンジュニア議員によって提唱されたという。彼は「この程度を負担と思うような社会なら、子供を社会で育てるとはとても言えない」という。つまり、子は宝なのだから、国民みんなが支えていかなければならないと言いたいのだろう。
■失策のしわ寄せは弱者へという構図
政府がこのようなきれいごとをいうためには、そして、国民から絞り上げるには、その前にやらなければならないことがあるように思う。そもそも出生率が低下し、しかも少ない子供でも育てにくい環境を作り上げてしまったのは国民ではない。ところが問題が生じた場合、それを負担すべきは国民ということになる。毎度の事なのだが、これは一国民として少々残念な気がする。
確かに国家とは国民の税によって賄われている。しかし現状、税収によってうまく国が回らないのは、税率が安いからではない。国民は各種税金に加え、8%の消費税を収めている。これらは、貧しい人間も、そしてささやかな生活を願うお年寄りなどの弱者の負担にもなっている。
本来であれば、政府がしっかりと対応を取らなければならない問題はいくらでもある。原発問題についても、結果として全国民がすべてを負担することになった。収めた年金が、ずさんな管理の元で消えてしまうと、支給額を下げたり支給年齢を後ろにずらしたりする。弱者がしっかりと税を取られる一方で、大企業や資産家が税を逃れる抜け道があり、これを塞ぐことがない。結果として市場全体が活性化せず、一部地域を除き、デフレ傾向を脱するいこともできないでいる。このような事は、挙げればキリがない。
しかし失策における責任は誰も取らない。逮捕者も出ない。ただただ、国民のしかも弱者の負担が増えるだけである。このような流れの中で、子供が育つ社会を作らなければならないのは、そしてそのために痛みを感じなければならないのは弱者ではない。
■日本国民が必死に貯蓄をしようとする理由
国民の生活が、生涯に渡って保証されるのであれば、税額を上げても不満は起こることがない。これは北欧の国々税率を見ても明らかである。彼らは、消費税として25%、他の税も含めれば収入の半分を税として収めている。しかし不満は出ない。また、貯蓄率は極めて低い。なぜなら、貯金などなくても、生涯不安なく生きる環境が、政府によって保証されているからだ。
現状、国民の多くが少ない収入の中から貯蓄をしているのは、将来の不安が大きいからだ。そしてだからこそ、首都圏など一部のエリアを除き、なかなか消費が増えていかない。しかし一部に明るさが見えるからと、さらに税金を絞りとろうとする。結果として、これが再び景気浮上の足かせとなる。
「この程度の財源を増税なく捻出できない政府なら、子供が健全に育つ国とはとてもいえない」と、これが国民の真意なのではないかと思う。