50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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「後悔先に立たず」にならないための正しい行動学


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「後悔先に立たず」在り来たりな言葉であり、誰もがご存知であることだろう。ちなみにこの言葉は、すでに終わってしまっていることを、あれこれと悔やんでも取り返しがつかないよ、という意味を持つ。

「あの時あんな決断さえしていなければ、こんな苦労をすることはなかった」
とまあ、このような想いに囚われつつ、頭を抱えてしまうことを「後悔先に立たず」というわけである。

確かに過去をあれこれと振り返ってみても、それだけで現状が好転するわけではない。また、過去に戻ってネガティブな気分に浸っていても、あまり良いことはなさそうである。さて、では「後悔先に立たず」を回避するにはどのような策が考えられるだろうか。

「より慎重に考えて行動し、失敗しなこと?」

真面目な方であれば、きっとそんな答えをされるかもしれない。しかしこれは、正しくもあり間違いでもある。今回はそんなお話をしてみようと思う。

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■現実世界では読み切ることができない未来

「後悔先に立たず」の回避策を考える上で、まずは、お話を人工知能やロボットの世界に振ってみたい。ちょっと話題が飛躍しているかと思われるかもしれない。しかしここに「後悔先に立たず」を回避するためのヒントがあったりするのだ。

現在急速な進化を続ける人工知能だが、実はこの分野において大きな難問のひとつとされているものに「フレーム問題」を挙げることができる。フレーム問題とは、1969年、米国の計算機科学者であり認知科学者でもあるジョン・マッカーシーがパトリック・ヘイズと共に提唱したものであり、有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題すべてに対応することはできないことを示したものである。

簡単に説明すると、限られた情報や認識のみでは、ロボットは現実世界における問題のすべてを解決できないというものだ。たとえば子供でもできるお遣いをロボットに実行させる場合、実は非常に高度な処理能力を必要とする。

「いつものスーパーに行って、牛乳を買ってきて」と母親から500円を渡された子供は「はーい」といって出かけていくだろう。しかしロボットがこれを行うためには、お遣いの概念から商品認識や支払い、つり銭の受け取りなど様々なことを認識し、実行できなければならない。また、そもそも「いつものスーパー」がどこにあるのか、どの牛乳なのかなども知っている必要がある。さらには、スーパーまでの道のりも知っている必要がある。つまり、お母さんのお遣いの指示を実行するためには、関連するすべての知識や概念を理解していなければならない。

さて、これをロボットに教えたとして、お遣いはできるだろうか。いやいや、それほどお遣いは簡単ではない。スーパーまでのルート途中が工事中で通れなかったらどうだろうか。また、スーパーが臨時休業だったらどうだろう。交差点では信号を待たなければならない。多くの歩行者を避けて歩く必要もあるし、道に穴が開いていたらそれを回避しなければならない。突然の雨の対策も必要かもしれない。無事スーパーにたどり着いたとしても、店内で目的とする牛乳を探す必要があるし、それをレジに持っていく必要もあることだろう。

現実世界には予想もしないような事象が起きることもある。お遣いを確実に処理するためには、そのすべてを認識しなければならないわけだが、するとロボットは次の動作を開始することができない。無数に存在する可能性に対処するためには、無限の時間が必要だからだ。これがフレーム問題である。

■失敗を後悔として捉えるか経験として捉えるか

さて、では現代のコンピュータの処理速度をもってしてもまともにできないことを、小さな子供はなぜやってのけることができるのだろうか。実はここに人間の素晴らしさがある。
というのも、人は行動をする際に、未来において起こりうるすべての事象を考慮していない。しかし、想定外の事に対応した際、その問題を解消するための努力をすることができる。あらかじめ想定していなくても、その段階において、持っている知識や経験則を駆使して、問題を乗り越える能力が人間には備わっている。この点において、ロボットが陥るフレーム問題を乗り越えることができる。

当然の事、失敗も多い。しかしこれで良いのだ。問題のすべてを想定していては、次の行動を起こすことができないからである。まずは行動。そして失敗。しかしここからが成功者となれるか否かの差が生じてくる。なんらかの成功を手にする人間は後悔をしない。これは失敗をしないということではなく、失敗を新たな知識として迎え入れている。

人がなんらかの行動を起こす場合、絶対的な成功はありえない。おおよそは失敗をするものである。それだけ実世界の事象は多岐に渡り、読み切れないことが多いからだ。よって失敗を避けることはできない。しかし、失敗をすることで、なぜ失敗したのかを実体験として知ることができる。そこで次に、この失敗を考慮して行動を起こす。再び失敗をすることもあるだろう。成功者はこの繰り返しによって成功を手にする。

これは、迷路を総当たりにして、結果として出口に辿り着くのに似ているが、多くの失敗を繰り返すことにより、次第に総当たりをしなくても、目的地へと歩むことができるようになる。度重なる失敗の中で、独自の経験則を積み重ねることができるようになるからである。

つまり、後悔はする必要がない。代わりに失敗を招いた要因をしっかりと考え、これを日々積み重ねていけば良い。大きな成功は、数多くの失敗によって作られていくものだからだ。

なお、人工知能やロボットにおけるフレーム問題を乗り越えるために、現在ではスパースモデリングという技術が用いられるようになった。実世界には、無限の発生事象が存在し、そのすべてを考慮することができない。しかしその一方で、よくよく観察をしてみると、無限の事象の中にも、ある種の共通性を見出すことができるものだ。そしてこれをひとまとまりとして捉えることで、膨大な情報の中から、必要とされる有限情報を抽出することができる。これをスパースと呼ぶが、このスパース性を利用することで、無限を有限として効率的に実世界の事象に対応しようとする技術がスパースモデリングだ。

技術的には最先端分野だが、実は人間にはこの能力が備わっている。このため、経験則が乏しい場合でも、徐々に失敗確率を下げていくことができる。総当たり的な行動を繰り返すことをしなくても、望むべき方向へと歩んでいくことができるようになる。小さな子供がお遣いを頼まれた際に、フレーム問題を乗り越えて牛乳を買ってくることに成功するのもこのためである。

人間はやはり素晴らしい。よって後悔などする必要はまったくない。「後悔先に立たず」の回避策は、失敗をしないことではなく、失敗をどれだけ今後の人生に活かすことにある。失敗を経験として積み上げつつ、常に前を見て歩んでゆけばよいわけである。

ミドルからシニアの方々。辛いことも多いことだろう。しかし是非ともお元気に、残りの人生を歩んでいこうではないか。多くの失敗を経験則に加えていくことで、必ず新たなフィールドに到達することができるはずである。まだ人生は終わったわけではない。ご自分なりの逆転ホームランは十分に可能である。「終わり良ければば全て良し」なのだ。

 


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