50代からの貧乏ながら気楽な人生

ミドルの視点から見たさまざまな問題やネタを綴ります。

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サブリース問題を55歳の貧乏人が考える


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■問題が表面化しつつあるサブリース

昨今、サブリースが社会問題化してきている。サブリースとはもともと又貸しのことだが、不動産賃貸においては、転貸目的の一括借り上げのことをいう。

地方都市や郊外にお住まいの方であれば、最近やたらとアパートが増えたと感じられている方もいらっしゃることだろう。人が住むのかと疑いたくなるようなエリアに、忽然と真新しいアパートが何棟も建ったりする現象である。そしてこの現象の裏には、サブリース問題が存在している場合が多い。

かつて農地であったり、使用目的がこれといってないといった地主の抱える土地に対して、多くの企業が営業をかけては、節税対策などをメリットとして、アパートの建設を持ちかける。しかし地主は、なかなか首を縦には振らないことだろう。なぜなら、アパート1棟を建設するのに、8千万円から1億円もの資金を新たに借り入れる必要があり、大きなリスクを生じるからである。

ところが、ここで営業マンは、次のシステムを地主に提示する。
「30年間の一括借り上げなので、リスクがありませんよ」
つまり、アパートを建ててくれたら、それを30年にわたり一括で借り上げるので、仮に入居者がなくてもリスクにはならない。また、アパートを建設することで節税対策にもなるので、そのメリットは多大であると、地主を説得していくわけである。

これまでまったく収益を生まなかった土地である。仮にリスクがないのであれば、わずかでも収益を生んでくれれば、それほどありがたい話はない。そして地主は、アパートの建設を決意する。

ところが、ここに大きな落とし穴が存在する。

実際には、30年間一括して同じレートで借り上げてくれるわけではないという点だ。一定期間を経た後においては、家賃は2年毎に見直されていく。あまり収益の上がらない物件の家賃は、その度に減額されていくことになる。また、借り上げの契約を継続するためには、10年毎のリフォームの発注が必要となるなどの付帯条件が付けられている。

家賃は徐々に下がり、そして建設費に借りたローンの返済はいずれ逆ざやとなる。わずかでも収益が生まれればと考えていた地主には、大きな借金とその返済義務が生じ、それが長期にわたって続くことになるというオチである。

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■建築会社が安定して儲かるビジネスモデル

さて、ではなぜ建築会社は、多くの営業マンを使って、地主にアパートの建設を進めさせているのだろうか。答は実にシンプルだ。儲かるからである。

建築会社は、アパートの建築によって大きな利益を得る。また、そのアパートが劣化した頃になると、ほぼ無条件にリフォームや大規模修繕のオーダーが入る。一括借り上げの付帯条項となっていることから、これらは無条件で受注できるし営業コストすらかからない。

一括借り上げ自体は、企業側のリスクとなるが、家賃は2年毎に見直すことができるわけだから、実はそれほど大きな損失にはならない。また、建築やリフォームにおいて得ることのできる利益の中で、借り上げコストを算出するので、損失を被ることはまずない。

さらには、同じエリアで同じように土地を遊ばせている地主は、すべてターゲットとなることから、徹底した営業活動によって、そのエリアを可能な限りアパートへと替えていこうとすることだろう。

人口増加の望めない地域にも、多くのアパートが建設されることになる。すると、当然、過剰供給となることから、なかなか借り手は現れない。また、借り手の奪い合いとなることから、アパートが満室になることはまずない。よって、家賃はダンピング競争を余儀なくされることだろう。しかしそれでも、建築会社は利益は確保できるビジネスモデルであるから、それで良いというわけである。

さてここで、じっくりと考えてみていただきたい。

日本の人口は今後減少傾向を辿る。2050年における日本の人口は、およそ9.5千万人にまで減少することがほぼ確実な状況だ。このように、人口が減少していく状況下において、今後、アパートの需要が膨らむはずはない。東京の一部地域であれば別だが、その他の多くのエリアにおいて、アパートを満室にすることは難しいに違いない。

今後はさらに厳しい状況となることだろう。これは、地方都市や郊外のマンション価格の暴落を見ても、はっきりとしている。車1台分で買うことのできる中古マンションも、決して少なくない。つまり、需要がないのだ。

サブリースを絡めたビジネスモデルは、建築会社が安定して儲かる一方で、地主は大きなリスクを抱える可能性が非常に高いものといえる。

なお、管理条件に問題があると認識した地主は、別会社への委託を検討するかもしれない。しかし建築会社は、むしろそれを望むことだろう。なぜなら、すでに大きな利益は得ている。管理契約が切れてしまえば、それできれいさっぱりと地主と離れることが可能となるからである。

 

■大きな契約の際には必ず専門家を立てよう

すべてのアパートにおいて、同様の悲劇を招くわけではないだろうが、それでも今後の人口の推移を考えるなら、サブリースによって多大な損失を被る家主は、決して少なくないはずである。

実際、地方都市郊外に乱立したアパートを見てみると、その多くが空き家のままとなっている。また、空き家は犯罪の温床となることも少なくない。ちなみに俺は貧乏人であり、不動産とは無縁なので、このようなビジネスモデルに取り込まれるリスクはない。

しかしもし空いた土地があり、また、その運用方法を知り得ない状況において、一括借り上げや節税対策を巧みに勧められたら、「いっちょ建てようか」と思っていたかもしれない。営業マンは、セールスのプロなわけだから、俺などはイチコロだったに違いない。また、営業マンの言葉を信じるがために、1億もの取引なのに、しっかりと契約書に目を通すことすらしかなったかもしれない。

穏やかな老後生活を送ろうと考えていた老後の生活が、もしかしたら多大な借金に喘ぐ余生となるかもしれないとなると、これは地獄以外の何物でもない。しかも、資産を持っていることから、自己破産さえままならない。

サブリースを絡めたビジネスモデルのすべてが、同様の問題を引き起こすとは限らないが、それでも、大きな契約を締結する場合には、弁護士や司法書士など、専門家を雇い入れて、しっかりとした判断をする必要がありそうだと、痛感する今日この頃である。

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