【道路法改正思案】自動運転車で車中泊の旅は実現するか
警察庁が道路交通法の改正思案を公表している。これによるとレベル3の自動運転車においては、走行中にスマートフォンや携帯電話を手に持って通話やメールの送受信をしたり、車載テレビを見ることを可能とするという。
ちなみに自動運転車におけるレベル3とは、限定された条件のもとですべての運転を実施するものの、緊急時などシステムから要請があった場合には、運転者が操作を行うといった条件付き運転自動化水準をいう。
現状は、レベル2の部分運転自動化にとどまるが、あと2年以内にレベル3の自動車が市販化されるとされている。また、5年程度の後には、レベル4の自動運転車も登場する予定だ。
レベル4は高度運転自動化のことであり、緊急時においても、ドライバーはシステムからの要請に対応する必要がなくなる。
よってこのレベルに到達する5年後には、さらに道路法が改正され、ドライバーは運転から開放されることになるようである。
■私でも届くかもしれない自動運転車での車中泊
「自動運転車と車中泊ってなんか関連性があるわけ?」
と思われるだろうか。
レベル4以降の車においては、多分は車内においてなんでもできるようになる。レベル3では睡眠は禁止されているがそれも撤廃されるかもしれない。
また、すでにモバイル環境は5Gが導入されているはずなので、車内は完全な形でインターネットに接続される。これがどういうことになるかご想像いただきたい。
私は車の中で目を覚ます。
「コンちゃん、今どこ?」
コンちゃんとは、車に搭載された音声対応システムであり、コンピュータを略して彼女をそう呼ぶといった設定ね。つまり、「Alexa」や「Hey!Google」と同様のアクションだと言える。
「現在、金成PAに停車中です」と彼女は答える。
「もう着いてたんだ。いやーよく寝た」
考えてみればそれも当然のことであり、私は目的地にこのパーキングエリアを指定した後に、寝袋に潜り込んだのだった。つまり、車中泊を停車して行う必要がなくなるわけだ。
「お腹が空いたんだけど、近くに何かレストランある?」
「牛丼屋の朝定食がお望みでしたよね」
「え?ま、まあね」
「東北自動車道を次で降りると2km圏内に3件の牛丼屋があります」
「じゃあ、一番近い牛丼屋に行ってくれる?」
「わかりました」
その直後、車は静かに走り出した。
近未来だというのに貧乏人の発想には限りがあり、実に貧相な展開だが、まあそれはさておいて、このような旅が実現するわけである。
■シニアライフと快適な車中泊
レベル4になれば運転中のドライバーの行動に制約はなくなるはずなので、移動中にはなんでもできる。つまり、PCでお宝動画を見ることはもちろんのこと、仕事もできるわけだ。
もしそうなれば、自動車のインテリアは大きく変わるはずだ。たぶんは、より家の部屋に近い利便性が求められることになるはずである。これについては、現在でも車中泊に向けた車であればすでに実現しているが、ベッドありテーブルあり、ベンチや椅子もあり、そしてシンクや冷蔵庫などを搭載する車も登場することだろう。
移動は車任せであり、移動時間は運転ではなく、その他のことに用いることができる。
車に特化したSNSが登場しているかも知れないし、場所を選ぶことなくできる仕事についてもさらに多様化が図られていることだろう。
私達は、旅を楽しみながらも、仕事を続けることもできるし、誰とでもつながることが出来る。また、これらの全サポートは、コンピュータがすべて行うわけなので、私達はあれこれと苦労することもなく、あらゆるサービスを車内で受けることができる。
すでにこれらを具現化する技術水準を私達の文明は持っている。
私は現在59歳だが、70歳くらいにこの環境が現実化していれば、十分に楽しいシニアライフを満喫することができるはずである。楽しみである。
「素敵な生活だとは思うけど、でもその車、高いんじゃないの?」
そこなのである。
問題はこの一点に尽きるわけである。